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真夜中の密事 46
「……爺、そこの角で止まって」
「かしこまりました。」
「………渚、着いたぞ。」
「う、うん……」
……だけど繋いでいた手は呆気なく解かれ、それと同時に車が停車した。
そしてすかさず橘が口を開く。
「………爺……あの、さ……」
「……承知しております。爺は……こちらでお待ちしておりますので、渚様をご自宅の前までお見送りしてあげてください。」
「………わかった。行くぞ、渚。」
「あ、うん。廣瀬さん、送ってくれてありがとうございました……また────」
また、会えるのかな。
会えるかわからないけど、廣瀬さんいい人だし、またゆっくり橘のこととか教えて欲しいな……
そんなことを思っていたら、いつの間にか廣瀬さんが俺側のドアを開けてくれ、続きが言えないでいる俺に優しく微笑んだ。
「とんでもごさいません。……また、渚様にお会い出来る日を楽しみにしております。これからも優人坊っちゃんのこと……よろしくお願いします。」
「あっ、いや!こちらこそ!」
「渚、早くしろ!」
深々とお辞儀をされ、そんなことを言われてしまった俺は軽くテンパっちまって、俺も深々とお辞儀をして橘のところへ歩きだした。
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