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運命の悪戯 7
向井の話では、最近彼女の様子がいつもと違う気がするらしく、他に好きな人でも出来たのかも……
と言う内容だった。
聞けば彼女は偶然にも、橘やほっしーと同じクラスらしい。
だから二人と交流が深い俺に、一応相談と言うか話してみようと思ったとか。
「つーか、彼女居たなら隠してねーで早く教えてくれればよかったじゃん。」
「別に隠してたわけじゃねーよ。それに、どちからと言うと、相原からの相談のることの方が多かったし。」
「まぁ………そうだったけど。」
いつも俺ばっかだったのは確か。
あの子が気になるとか、告白したのに断られたとか結構色々愚痴ったりもしてた。
でも思い出してみても、向井のことって全然聞いたりしてなかったかも。
一方的といえば一方的だったな。
「…………なんか、ごめん。」
「別に謝らなくてもいいよ。俺もあんまり相談とかするタイプじゃなかったから……。あと、さ……相原って、今…好きな女居る?」
「………は?!い、いきなりっ…なんだよ!?」
「最近、恋愛ネタの相談……なかったし、どうなのかな…って。」
好きな……女って……
橘は女じゃねーし……
でも好きな人て橘だし……
こういう場合どう答えるのが正解なんだ?!
うーん……
そして迷った末に、
「…………好きな女は………いない」
俺は微妙な返事をしてしまった。
なんか、間違ったことは言ってないけどちょっとだけ罪悪感だな。
橘……ごめん。
「………そ、そっか。もう1つ……変なこと聞いていい?」
「な…に?」
駅まであと少しというとこで、そう続けて切り出した向井の歩く速度が急にゆっくりになる。
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