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運命の悪戯 10
*
……………渚、ただいま────
……………た、ちばな?!いつ帰ってきたんだよ?!
……………今朝の便だよ。渚に言わなきゃいけないことがあって。
……………え?なに?
……………その前に、最後に一度だけキスさせて。
……………最後?!最後ってなんだよ!……っんん!
久しぶりのキスは全身が痺れるほどの気持ちよさで、それに、抱きしめられて体温を感じたらこの身体はもっと欲しがってしまう。
なのに、身体の反応とは裏腹に気持ちはめちゃくちゃだ。
だって、“ 最後”なんて言い出して俺には全く意味が分からない。
……………ちょっ、最後ってなんだよ!!
……………ごめん、渚。
なんで謝るんだ!ごめんてなんなんだよ!!
「……おいっ橘っ!!」
自分の声にびっくりして目を開けると見慣れた天井で、
………なんだ、夢か
夢だと気付いてホッとしたけど、なんなんだ…あの夢。
くっそー……なんか、すげー後味わりーじゃん。
携帯を開くとまだ夜中の2時で、すっかり目が冴えてしまった俺はなんとなく寝ることを諦め、机の引き出しに閉まってあるアイツから預かってるバッチとカードキーを取り出してみた。
そのカードキーを手に取りぼんやり眺めながら、橘と離れたあの日、最後の最後に言われたことを思い出す。
『────……どうしても寂しくなったら、あのカードキーを使ってオレの部屋に来てみろ。』
あの日、別れ際そう告げてアイツは帰って行った。
部屋に何があるんだと聞きたかったけど、すんなり教えてくれる性格でもないから俺は諦めたんだった。
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