295 / 498
運命の悪戯 22
「………向井?聞きたいことって……橘のこと?」
だとしたら……わざわざ屋上まで連れてきて話すことか?
………じゃあ、他の違うこと?
俺がぐるぐると考えている横で、向井はゆっくりと首を縦に振り話しを続けた。
「……………相原とアイツって、仲………いいよな……」
「は………?」
「親友の俺でも、妬けちまうくらい……」
妬く?
何言ってんだ?
「……ちょ、向井…ど、どうしたんだ、よ?」
視線をアスファルトの地面に移したまま、俯きながらどこか寂しそうに話す向井を見ていたら、いつかの保健室での事を思い出した。
あの時、向井は俺に橘と仲良くして欲しくないと言った。その時いい機会だから橘との関係を打ち明けようとしたら話しをそらされ、向井は保健室を後にして行ってしまったんだ。
今日こいつが、また訳わかんねー事を言い出した真意はさっぱり分からないけど、いい加減俺たちの関係を言わないと。
「………向井……おまえに話したい事が……」
「あのさっ、あくまで親友として言うけど、反対だから。」
今度こそと話し出すと、俺の言葉をまるで聞いていないように向井がすかさず口を挟んできた。
ともだちにシェアしよう!