何故か望月に手厳しいほっしーだけど、次に俺たちに向けた表情はいつもの穏やかなほっしーだった。 「相原くん、向井くん、お邪魔しちゃってごめんね。」 「あ、いや。だ、大丈夫だけど……ほっしーこそ、どうした？こんな時間に屋上なんか……」 「え？あ、いや……」 「おい、渚！屋上と言えばなんで鍵開けられたんだよ。」 「え？！そ、それは……」 「たくっ……黙っててやるからちゃんと職員室に返しておけよ？」 「あ、う……うん」 「その代わり……俺にここで会ったのは誰にも言うなよ」 「え？」 「え？じゃねーよ。分かったか？」 なんで急にそんなことを言い出したか意味不明だけど、とりあえず頷いた。 「う、うん。つか、別にそんな秘密にすることかよ。なんかバレたらまずいことでもあるのか？」 「はぁ？べ……べつにねーよ。」 「望月先生……どうしたんですか？ふふっ」 「何がだよ。星川、何か言いたいことでもあるのか？」 「別にないですよ。」 「も、もういいから、行くぞ、星川」 すると、さっきまでの余裕の望月ではなく、若干焦りながらほっしーを引っ張って歩きだそうとしているのを見て、なんとなくだけど…… 望月が待ってたのって、ほっしー……？ なんとなくだけど、そんな気がした。 「……相原？おい！相原！」 「………え？あ、ごめん。」 「アイツさ……望月って、本当に教師なのか？すげーウザいんだけど。」 「俺も時々疑わしいくなる。だからあんまり関わりたくねーんだけど、生徒会の顧問だからそうもいかなくてさ。」 「気を付けろよ？アイツ、絶対に相原のこと狙ってる。」 「いや、でも俺…男だし。からかってるだけだろ。」 そうだよ俺は男だし、そんな迫られるほどの顔もしてない。 好意を持つのは勝手だけど、男同士で…なんてやっぱ無理。 でも……橘だけは何故か、他の誰とも違ったんだよ、な。