329 / 498
友達以上、恋人未満 29
………あれ、俺…
眠りから覚めた時、一瞬ここが何処か分からなかった。
でもすぐに趣味の悪い壁紙の天井が視界に入って、ここがカラオケBOXだと言うことを思い出す。
寝返りを打とうとしたら、何かが俺にかけられていることに気付いた。
向井のシャツ?
寝てる俺にかけてくれたのかな。
寝起きでちょっとダルい身体を起こして、ぼんやり考えながら座りなおした時に部屋のドアが開いた。
「起きたか?」
「……うん、ごめん…俺、結構寝ちゃった?」
「いや、30分くらいじゃないか?」
意外と時間が経ってなくてよかった。
つか、向井どっか行ってたのかな。
「なぁ、どっか行ってたの?」
「え?!……あ、うんトイレ。」
「そっか。あ、これ…ありがと。」
礼を言ってシャツを渡すと、それを受け取った向井が俺の横に座り、残り少なくなっていたグラスの中のジュースを一気に飲み干した……
そして、深いため息を一つ吐き出す。
「……向井…どうした?!」
さっきまでの元気もなく、静まり返った室内に重い空気が一気に充満する。
ともだちにシェアしよう!

