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友達以上、恋人未満 30

「……なんか、さっきトイレに行って一人になったら急にブルーになってきてさ……」 あーそうだ、こいつ鳴ちゃんにふられたんだった。 主旨をすっかり忘れてたよ。 「おまえさ、鳴ちゃんのことまだ好き…だろ?」 隣で沈んでるこいつに、出来るだけ刺激を与えないようにさりげなく聞いてみた。 せっかくの幼なじみで仲良くやってたんだから、どうせならやり直して欲しいってのが本音。 だから今日のカラオケも傷心カラオケと言いつつ、向井の気持ちをちゃんと聞いてやろうってのも目的の一つだった。 だから、まだ鳴ちゃんを好きなら協力してやろうって思ったのだけれど…… 「…………好き、じゃないのかも。つーか……正直、分かんない。」 向井からの返事は煮え切らない言葉だった。 「分かんないって……なんだよ。」 「分かんねーもんは分かんねーんだよ。」 「向井はさ、鳴ちゃんに他に好きな奴とか出来たかもって疑ってたけど、おまえはどうなの?鳴ちゃんより好きな子とか出来た…とか。だから、好きかどうか分からないんじゃねーの?」 俺の問いかけがよほど核心を突いていたのか、向井の方を見ると明らかに動揺した表情をしていた。

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