337 / 498
友達以上、恋人未満 37
「待て待て待て!!おまえ何考えてんだ!!」
背中には冷たいソファー。見上げれば趣味の悪い天井をバックにマジ顔の向井……なんともミスマッチだ。
「なんで?……させてくれないわけ?…………練習…」
「バカ言うなっ!いくらなんでもそれは実践に頼れよっ。ついでにおまえ、人の名前使って告白の練習すんなよ、マジ焦るじゃん!」
「…………練習…か…」
「え?」
「いや。キスくらい別にいいじゃねーかよ……俺にだって…」
「は…………?」
何が言いたいんだ、こいつ。
「あ、いや………何でも…ない。」
俺を押さえた手先はまだ力が強くて押し退けられず、視界に広がるミスマッチな光景は相変わらず変わらない。
だけど、変わらない光景の中、ただ向井の表情だけが段々と変化を遂げ、影を落とし始める……
「マジで……マジで練習だと思った?」
「へ?!う、うん……」
「だって、練習だろ?」
「………………はぁ……」
なにあからさまなため息吐いてるんだ?
だって……他にどんな意味があるんだよ……
「………相原ってさ、天然て言われない?」
「はぁ?!」
“渚ってさ、天然だよなぁ…”
確かに橘にはよく言われてた。
でもどこがどう天然かなんて正直俺はわからない。
ともだちにシェアしよう!