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友達以上、恋人未満 40

やっと視界が開けたと思ったら、向井がいきなりトイレに行ってくるとか言い出して、また一人になってしまった。 アレ鎮めてくるんだな、きっと。 顔が真っ赤なまま、急いでトイレに駆け込む図もなんか笑えるけど、半勃ちくらいなら別にここにいたって治まりそうな気がするけどなぁ…… まぁ、あいつにも色々あるんだろうとおとなしく待つことにしたのだけれど、向井はそれからなかなか帰ってこなかった。 さすがに心配になって、様子を見に行こうと部屋を出たとこで、向井と出くわした。 「大丈夫か?帰って来ないから心配になって…」 「俺………決めた。」 「は?」 「俺、やっぱりちゃんと告白する……」 いきなりそんなことを言い出したもんだから俺もビックリして、とりあえず部屋に入れと促した。 「で、どんな心境の変化だよ。あんなに消極的だったのに。」 「さっき、告白してみて実感したんだ。俺、自分で思ってた以上に…そ、いつのこと好きなんだって。だから、近いうちちゃんと告白する。」 まぁ、何はともあれ俺は向井を応援するだけだ。 「頑張れよ!想い、ちゃんと通じればいいな!」 「う、う……ん。」 親友の役に立てたと思い込んだ俺は浅はかだったんだ。 こいつが、複雑な表情のまま何かを噛み締めるように頷いた気持ちなんてこれっぽっちも分かってなかったんだから────

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