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4度目の正直 5
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花火大会を前日に控えたある放課後、いつものように向井と帰ろうと校門まで来ると、何処かで見たような黒塗りの高級車が横付けされていた。
「なんだこの高級車。うちにこんな金持ち通ってんのかね?」
「…………さあ。」
何処で見かけたかなんてすぐ思い出せるわけもなく、向井に適当に相づちをうって気にも止めずに横を通り過ぎようとしたら、いきなり車のドアが開いた。
それにびっくりして足を止めると、中から出てきたその人は……久しぶりに見るあの人で……
「渚様……ご無沙汰しております。」
「……………廣瀬…さん?」
相変わらず礼儀正しいく俺に深々と頭を下げ、品のある笑顔を向ける廣瀬さんがそこにいた。
「お、おいっ…相原の知り合いなの?」
「あ、うん…ちょっと。」
別に橘の身内だって言ってもよかったのに、何故か俺は咄嗟に濁してしまった。
「学校の方まで押し掛けてしまって申し訳ございません。」
「あ、いや…全然!でも、どうしたんですか?」
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