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4度目の正直 9
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「なぁ?……なぁってばっ!相原聞いてんのかよ。」
「は?!……聞いて、なかっ、た…ごめん。」
「たくっ……焼きそばとフランクフルトどっちがいいんだよ、時間までまだあるから買ってきてやるって…さっき聞いたのに。」
「ごめん。フランクフルトが食いたい……かも。」
「じゃあ買ってくるから、そこにいろよ。」
「あ、うん。ありがと……」
昨日、あれからうちまで橘ん家の車で送ってもらった。
車から降りようとした時、いつになく真剣な表情の廣瀬さんに、“坊っちゃんをこれからもよろしくお願いします”と、頭を下げられた。
やっと橘の居ない生活とうまくやっていけそうな自分を見付け出せたはずなのに……
また振り出しに戻ったような気持ちに苛まれ、あまり眠れずに朝を迎え向井と会った。
「相原?なんか、大丈夫か?」
「え?」
「今日、顔色あんまりよくないから……なんかあったのかなって思ってさ。もしかして昨日の……」
「いや、大丈夫だよ。昨日、夜遅くまでゲームしてたから寝不足なだけ。」
せっかくな日だから余計な心配はかけたくない。
それに今更、廣瀬さんのことを話す気もしない。
だから、当たり障りない理由をつけて誤魔化すと、向井はフランクフルトを買いに人混みの中へ消えていった。
………向井、ごめん。
一瞬で見えなくなった向井の後ろ姿。
俺は声にならない声でその残像に呟いた。
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