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4度目の正直 10
「……………はぁ……」
出店が立ち並ぶ神社に続く大通り。
普段は閑散としてるのに、今日だけはどこを見てもすごい人で、俺は少しだけ裏路地に入った場所で待つことにした。
あんまり奥に行っちまったら向井が捜すだろうから、この辺にいるか……
よっこらしょっとおやじくさい独り言を呟きながら適当な場所にしゃがんだ。
そしてふと空を見上げるとオレンジ色の空が一面に広がっていて、何故かあの日のことを思い出した。
初めて、橘と結ばれたあの日……
橘のマンションから帰る時見た空もこんなオレンジ色だった。
『何があってもオレの傍にいろよ……』
あの日の帰り際、橘は念を押すようにそう言ってたっけ。
「自分勝手なヤツ……」
傍に………
居たいのに、居れないねーじゃん、
おまえが此処にいねーんだもん……
ダメだ。昨日の一件で、俺の心はかなり弱気になってる気がする。
表通りから聞こえるガヤガヤとした音がやけに遠くに聞こえて、俺は全てから遮断された空間に居るような錯覚を覚えた。
そして膝を抱え顔を伏せると、ゆっくりと息を吐きながら、呟いてみる───
「早く…………逢いたい………よ………」
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