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4度目の正直 15

「相原?なに固まってんの?」 「いや……。あっ、その袋ってなんなの?」 余計なことを思い出したのを悟られないために、咄嗟に向井が持っていたビニール袋を指差すと飲み物も一緒に買ったと教えてくれた。 「おっ、気が利くじゃん。一本ちょーだい。」 残りのフランクフルトを平らげ、ゴソゴソと一本ジュースを取り出したけど暗くてイマイチ何味か見えない。 まぁいいやとプシュッとプルタブを開けてゴクリと一口飲んで思い出した。 「そういやぁ、おまえ好きな子に今日告白すんだろ?俺とこんなとこまで来て大丈夫なのかよ?」 花火も始まるし、心配になって聞いてみると、向井は少しバツが悪そうに俯いた。 「……まぁ、大丈夫と言えば大丈夫。」 「花火始まっちまうぞ?花火見ながら告白とかロマンチックなこと考えてたんじゃねーの?」 「そ、そうなんだけど………相原、あのさっ…」 向井が何か言いかけたと同時に花火がズドッーンと一発舞い上がった。 「うわっ、綺麗だなぁ。」 打ち上げては消えを繰り返す夜空に広がる幻想的な色鮮やかな花火。 ………橘にも見せてやりたいなぁ

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