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4度目の正直 16
こんなによく見える場所から見たことなんてなかったから、あまりにも綺麗でそんなことが一番に頭に浮かんだ。
そして思う……
一緒に見たかった…な……
……と。
引っ込んだはずの涙がまた溢れそうなるのをジュースを飲んで必死に誤魔化した。
俺、どんだけ女々しいんだ。
橘と一緒だとどうせ素直になれなくて悪態吐きながら見るんだろうけど、今はそれすら出来ない。
「綺麗だなぁ……花火。」
「うん、すげー綺麗。」
だけど、向井の前では俺は不思議と素直になれる。
橘とはまた違う安心感があるっつーか、こいつが親友で良かったって思う。
今日だって、俺が泣いた理由もしつこく聞いたりはしない。ただ隣に居てくれる、そしていつも通り接してくれる。
そんな距離感が俺をまた安心させてくれた。
「今日、相原と花火見れて良かった。」
「なんだよ、大袈裟な。」
「俺、昔から花火は好きな子と見るって俺の中でルールがあって…その席去年までは毎年、鳴だった。」
「へ~じゃあ、今年は…その片想いの子と見るはずだったってことだろ?俺、居ちゃダメじゃん。」
「……………いや、今年も俺のルールは破られていない。」
「は?……だっ、て……」
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