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4度目の正直 20
そして向井の唇はそれを合図に離れていくと、そのまま首筋まで舌を這わせていく。
「………俺のキスで感じてくれた?」
違うと必死に首を横に振っても漏れだす喘ぎ声は止まらなくて全く説得力はない。
俺、どうしたら……
「渚…………」
頭ん中がパニックなのに、向井は追い討ちをかけるように俺の名前を耳元で囁いてくる。
そして、橘がいつも囁くみたいに甘く、もう一度……
「……………渚……好き。」
『渚、愛してる────』
橘………
「だ……め……」
「なに?」
「俺のこと……渚って……だめ……」
流されそうになる寸前で橘の声が頭の中に響いた。
やっぱり、俺の名前を呼んで欲しいのは……あいつだけだ。
だから必死に顔を背け、俺は出せるだけの力で向井を押しどかしはっきりと告げた。
「…………ごめん、……ごめん。俺は……あいつにしか呼んでもらいたく、ない……“渚”って…」
「は………?」
心の奥底から沸き上がる想い。
俺はやっぱり橘が、好き。
橘だけが、好き。
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