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4度目の正直 22
だけど、人の気持ちなんてそうはいつも上手くいくわけない。
こんなにも好きな橘は目の前にいないし、向井はすんなりと諦めてくれるかも分からない。
「あのさ、はいそうですか、なんて言えるかよ。俺はあいつよりおまえのことよく分かってるし大事に……出来る。なんでっ、なんであいつなんだよ!!」
ほら、やっぱり。
だからゆっくりじっくり説得しようと口を開こうとしたらまた押し倒され、馬乗りになってさっきより強い力で押さえ込まれながら、初めて親友に危機感を抱いた。
「ちょっ…向井!痛いって!お、おいっ!!」
「なんでっ…なんでっ……」
うわごとのように呟きながら、俺の首筋に吸い付き時々キツく噛まれその度に俺の思考は無意識に橘を求めてしまう。
………橘
………助けて
………恐い
「あいつなんかより……俺の方が……ッ…好きなの、に……」
「……ッ…やっ…んッ……たち…ば、な…」
無意識に口をついて出た言葉に一瞬向井の動きが止まる。
だけど、チッと舌打ちをするとまたすぐに動きは再開された。
そして、
チクリチクリと首筋に痛みが走る度に、大切な何かが崩れていく気がして、俺は……切なさと恐さが入り交じった不思議な感覚に陥っていった。
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