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4度目の正直 26

一気に血の気が引いた。 橘と離れて寂しくて、俺は一回だけ夜中に橘を想ってしたことがあった。 あの夜、確かに携帯は気付いたらベッドの下に転がってて…きっと、その前に枕元に転がってる時に何かのひょうしにボタンを押してしまったんだろう…… なんで気付かなかったんだ…… 「まぁ、気付いてたらあんなエロく喘いで“気持ちいい”とか“橘、好き”とか言わねーもんな。」 「…………なっ……」 最悪だ。 喉の奥がつっかえて上手く言葉にならない。 頭の中であの夜のことを必死に思い出すけど、混乱と酒のせいで思考能力はゼロに等しいし、素面でも多分あの夜のことは思い出せない気がした……それだけ夢中だったから。 「………それ聞いて、おまえ達が付き合ってるんだなって思った。薄々は気付いてたんだけどその時に確信に変わったんだよ。で…その時、俺、何思ったと思う?」 「…………。」 「……あいつには絶対に相原を渡したくない…付き合っていようがいまいが関係ない……そう強く思った。俺はその時初めて相原を橘に取られたくないって思ったんだよ。あんな艶っぽい声で求められてるあいつに心底嫉妬したし、こんな感情初めてで……正直、自分が一番驚いたな。」

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