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パンドラの箱 12

やっとの思いでうちに着くと幸い家族は出かけていて留守だった。 階段を上がり自分の部屋に入りベッドに腰掛けるとどっと疲れが押し寄せてくる。 頭痛は更に痛みを増してくようで、もう何にも考えたくない俺はとりあえず寝ることに。 そしてごろんと身体をベッドに預けると、相当疲れていたのか意識を失うように深い眠りへと入っていった。 どのくらいか時間が経ち、身体が肌寒さを感じ、身震いをしながら目を覚ますと部屋は夕焼けの色に染まっていてた。 「すげー寝ちまったな……今何時なんだろ。」 壁に掛かる時計を見上げると夕方の6時を過ぎた頃。そして、何気なく隣のカレンダーに視線を移しぼんやり眺めていて気付いた。 「今日っ……て…七夕…」 ………俺の誕生日 「あっ!」 もしかして橘、俺の誕生日だから…… だから、電話…… 絶対そうだ。今日ばかりは特別に…だから非通知にまでして俺に電話をくれたのかもしれない。 なのに、俺は……… 橘の想いを考えると電話に出れなかった俺は…… 最低最悪だ。 「橘…………ごめん、……俺……」 鳴らない携帯に謝ったって何の意味もないのに。 だけど、自分の不甲斐なさに謝らずにはいれなかった。

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