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パンドラの箱 13
時間が経てば経つほど沸き上がる罪悪感。
こんなにも苦しいなんて……
胸が痛い……
いや、心が痛いの方が正しいかも。
心がズキズキとナイフで刺されたような鋭い痛み。
……俺は、どうしたらいいんだろう。
何とかして橘と話をしたいけど、非通知ではなすすべがない。
空回る頭では一向に何の解決方法も出せないまま、時間だけが過ぎていく。
そして、疲れきった頭で出した答え。
それは……
「ちょっと出かけてくる。」
「もうすぐご飯なのに?…それに、今日は渚の────」
「それより大事な用事なんだ……だから、」
いつの間にか帰ってきていたかーちゃんがキッチンから顔を出し、玄関先で俺を引き止めようとしたけど、それどころじゃないんだ。
自分の誕生日だからってどうってことないし、俺は行かなきゃならない。
────あの場所に
そこに行ったってあいつがいるわけでもない。
だけど、今の俺にはそれしか浮かばなかった。
『────どうしても寂しくなったら、そのカードキーを使ってオレの部屋に来てみろよ。』
橘と最後に別れたあの日言われた言葉。
寂しいとは違うけど……
「いいよな………行っても」
手の中にあるカードキー……───それとあのバッチ。
2つを握り締め、誰に言うわけでもなくそう呟いた俺は、暗黒へと変わる空を見上げため息を吐いた。
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