381 / 498

パンドラの箱 13

時間が経てば経つほど沸き上がる罪悪感。 こんなにも苦しいなんて…… 胸が痛い…… いや、心が痛いの方が正しいかも。 心がズキズキとナイフで刺されたような鋭い痛み。 ……俺は、どうしたらいいんだろう。 何とかして橘と話をしたいけど、非通知ではなすすべがない。 空回る頭では一向に何の解決方法も出せないまま、時間だけが過ぎていく。 そして、疲れきった頭で出した答え。 それは…… 「ちょっと出かけてくる。」 「もうすぐご飯なのに?…それに、今日は渚の────」 「それより大事な用事なんだ……だから、」 いつの間にか帰ってきていたかーちゃんがキッチンから顔を出し、玄関先で俺を引き止めようとしたけど、それどころじゃないんだ。 自分の誕生日だからってどうってことないし、俺は行かなきゃならない。 ────あの場所に そこに行ったってあいつがいるわけでもない。 だけど、今の俺にはそれしか浮かばなかった。 『────どうしても寂しくなったら、そのカードキーを使ってオレの部屋に来てみろよ。』 橘と最後に別れたあの日言われた言葉。 寂しいとは違うけど…… 「いいよな………行っても」 手の中にあるカードキー……───それとあのバッチ。 2つを握り締め、誰に言うわけでもなくそう呟いた俺は、暗黒へと変わる空を見上げため息を吐いた。

ともだちにシェアしよう!