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パンドラの箱 14

懐かしい橘んちのマンション。 エントランスを抜けエレベーターがある場所へと歩いていく。 一歩一歩踏みしめながら歩いていると色々な思い出が蘇ってきて、多分立ち止まったら泣いてしまいそうなほど、心は弱っていた。 なんか、あいつの部屋に行ったら、ヤバいかもな…… 分かってるのに来てしまった俺は我ながら救いようがない馬鹿だと思う。 でも、でも…… 俺はあいつが好きだから、 誰よりも好きだから、 俺は此処に来たんだ。 恋って、人をこんなにも強くさせたり脆くさせたりするものなんだな…… …なんて、女みてーなことを考えてる自分に苦笑した。 だって、乙女すぎんだろっ。 「…………はぁ……着いた」 そんな乙女全開の自分にツッコミを入れつつ歩いているといつの間にか部屋の前に着いていた。 そのまますぐにカードキーを取り出しカードセンサーにかざし鍵を解除する。 そしてドアノブに手を伸ばし中へと…… ────中はいつもと変わらない景色が広がっていた。 家具もなにもかもあの日のまま、あいつから放たれていたほのかな甘い香りさえもまだ部屋中に微かに残っていて……一気に楽しかった日々を蘇らせる。 寂しくなったら来いとか…… 「…………余計寂しくなるっつーの……」 あいつのことだ。俺がこんな悪態吐くのだって計算済なんだろう。 だから──── あいつは、やっぱり全てお見通しなんだよ。 キッチンを抜け、ゆっくりとリビングのドアに手を掛け、開いた先で────それは確信に変わっていった。 そこには…………

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