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パンドラの箱 20
やがて流れる曲の速度は次第にゆっくりになっていった。なのに、俺の心拍数は速くなる一方で……ドクドクとうるさいくらい身体中を支配している。
そして、その数分後ついに……
音は完全に……………止まった。
再び訪れた静寂の中、俺はゆっくりと息を吐きながら目を開ける。
……そして、箱の中にアレを入れその蓋をそっと閉めた。
橘が電話に出てくれない可能性もある。
だけど、電話に出てくれてきちと話が出来たら、俺は自分の気持ちを伝える。
もう、橘に何を言われても俺が言う言葉は決まっている。
そう言おうって……俺は、決めたんだ。
多分それはもしかしたら間違っているのかもしれない。
だけど、馬鹿な俺にはこれしか思い付かなかった。
この罪悪感を少しでも和らげることが出来る手段。
ここに来る間、ずっと胸の奥底で考えてたこと。
それは────
橘からの手紙を手に取りポケットから携帯を出すと、まだ震える指先でダイヤルを一つ一つ押していく。
それを伝える為に一つ一つゆっくりと、確実に……
「……………橘……ごめん…ごめんなさ……い」
……そして、そう呟いた後、
俺は通話ボタンを、押した────
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