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パンドラの箱 22

「ちょっちょっと待てっ!!今なんて言った?!おまえ……今海外じゃ……」 まさか、あいつ…… 日本に戻って…来た、のか?! 俺のことが心配になって?! いやいやいや、橘もそんな馬鹿な真似しねーよな…… 『日本に戻って来たんだよ。誰かさんが心配させるようなことすっから。で、帰国してすぐに携帯掛けたけど留守電だし、うちにも居ねーし、どんだけ心配させんだ!』 って、マジか……… つか、俺の…ため?! 橘、おまえ──── 「馬鹿じゃねーの?なんだよ、その理由。」 『あ?立派な理由だろ。つか、おまえ…もしかして、オレんちに居る?』 「な……なん、で……」 『今、オレんちの前まで来たら…明かりがついてるから。』 えっ……… 無意識に、俺は視線を玄関の方へと向けていた。 ドア一枚隔てたとこに、橘が…居る。 会いたくて会いたくて仕方なかったはずの橘が、 ドアを開ければ…… 触れられるんだ。 胸の奥底から沸き上がる熱い感情。 だけど……… 「………ごめん、今は…会いたく…ない。」 『……………は……』 こんなにも会いたかった人なのに、 だけど、顔を見てしまったら揺らいでしまいそうだったから、 「ごめん、とりあえずこのままでいいから俺の話し聞いて欲しい。」 ……そう俺は切り出した。

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