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パンドラの箱 26

そして少しの沈黙の後聞こえてきたのは…… 『……………怒ってるよ。この世の中に人を殺しても罪にならない法律があったら、オレはそれに近いことをしてしまうかもしれない。………それくらい怒ってる。』 淡々と落ち着き払ったかのように語る声。 それは余計に怒りを含んでいるように聞こえた。 それに、こいつが言うと冗談抜きでマジに聞こえる。 『でも………』 「え?」 『でも、オレにも責任があったんだよ。』 「なんで!俺が油断してたからこういう事になったんじゃん!橘は悪くねーよ!」 『いや。向井があやしいのはオレも気付いてた。なのに何の対策もしないで渚を一人にして来てしまった。オレも向井がそこまで大胆な行動に出るとは思ってなかったんだ。』 「対策って……。つか、向井があやしいとか気付いてたおまえが逆にすげーし。」 『渚はそんなだからこう言う事態になるんだよ。』 なんかその言い方ムカつく…… 「てかさ、気付いてたなら俺に教えてくれたっていいじゃねーか。」 『あのなぁ、一応気を遣ったんだよ。親友がマジとか気付いたらギクシャクすんだろ?オレが口出ししてお前達の仲が悪くなるのもどうかと思ったし。』 「そこまでおまえ……」 そこまで考えてくれてたなんて…… 「極力は知らねー方がいいんじゃねーかって。だから心配ではあったけど、そのまま知らないフリをしてた。でも結局こんな事態になっちまったし……久々にマジムカついた。向井の野郎……オレのもんに手出しやがって…』 「そう……だったんだ。でも……俺…モノじゃないんだけど…さぁ……」 想いの深さ知って罪悪感は募るばかりだけど、 やっといつもの橘に戻ったような口調にほんのちょっとだけホッとした。 『あ?渚はオレのもんだろ。つか、そろそろドア開けてくれてもいいんじゃねーの?』

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