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パンドラの箱 33
なんだって言うんだ。
シカトとかなんか気分悪いんだけど。
俺の話なんてまるで聞いてないような素振りで橘はリビングに続くドアに手を掛けていた。
「……なんだよ、シカトしなくたっていいじゃん!おい、聞いてんのか!」
そんな態度に俺はついに声を荒げてしまう。
そして、ドアを開け中に入ったとこで橘は大きなため息を吐きながら静かに口を開いた。
「あのさ………」
「……な、なんだよ。」
「ちょっとはオレの身にもなれよ。」
「はぁ?全然意味分かんないんだけど。」
そして再びため息を吐いた橘はついには掴んでいた俺の手を離してしまう。
俺はこいつの勘に触るようなことでも言ったのだろうか。
不安になって口を開きかけたとき聞こえてきた橘の声。それは、俺を更に混乱させるものだった。
「…………たくっ、おまえは…オレがどれだけ我慢してるか全く気付いてないんだな。」
へ?我慢?
「何を?」
振り向き俺をチラッと見た後、心底呆れたような顔で橘がまたため息を吐く。
「いや……いいよ。」
なに、その顔……
いいって……いいってなんだよ!
「なんだよ、意味わかんねーし!いいってなんだよ!俺、謝っただけじゃん。なのに、何でそんな顔すんだよ!」
「はぁ?なぎ…さ?急にどうしたんだよっ。」
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