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パンドラの箱 34
せっかく再会したのにどうしてこんな気持ちにならなきゃならないんだ。
どうしてこいつは……そんなにため息ばっか吐いてんだ。
何かがいつもと違う気がする。
ボタンを掛け違えたみたいに俺たちの何かが噛み合わない。
そんな俺は混乱と不安から心にもないことを口走ってしまう。
「…………やっぱり、実は俺のこと呆れてるんじゃねーの?めんどくせーとか思ってんじゃねーの?」
「……渚……何、言ってんだよ。」
「だってそうだろ?さっきからため息ばっかだし。……泣いてくれるくらい好きでいてくれたの…すげー嬉しかったのに…なのに、かと思えばあんな顔するし。俺、正直…橘が何考えてんだかわかんねーよ!」
気付いたら唇を強く噛みしめ勢い任せに言葉を吐き捨てていた。
頭ん中はぐちゃぐちゃで、こんなこと言いたい訳じゃないのに勝手に言葉が口から溢れだす。
さっきだって、抱き締めてくれたのにそれだけで…キスもしてくれなかった。
いつもなら何も言わなくてもしつこいくらいなのに…
「俺ばっか必死みたいで、俺…馬鹿みてーじゃん!…おまえのこと、ただ好きなだけなのに…なんで俺だけこんな不安になるんだ…!」
手を伸ばせば触れられる距離にいるのに俺はその手を伸ばすことが出来ない。
好きなのに……
ただ、好きなだけなのに……
もどかしい感情が俺たちを遠ざけていくみたいで、俺は不安で不安で仕方なかった。
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