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パンドラの箱 36
「オレが我慢するのなんて珍しいんだからな。」
「だから、それが意味不明なんだよ。我慢てなんだよ。」
「……渚に決まってんだろ?」
「へ?お、れ…?」
「あぁ。オレだってさ、渚とキスしたてーしセックスだってしてーんだよ。」
「せっ…ておまえストレートすぎ!」
あまりのストレートさに軽くテンパり始める俺。
そういえばこいつはこんなやつだった……
「久しぶりだから一度触れちまったら歯止めがきかなそうだったから必死に我慢してたんだよ。それに…色々話さないといけないこともあるし…」
なんだよ、人騒がせな奴……って、
「おい、話ってなんだよ!」
ホッとして軽く流しそうになったけど。
「あぁ、まぁ色々とな…オレがどこで何してたとか、今からゆっくりちゃんと話すよ。でもこんな近くに渚がいるとやっぱり我慢の限界かも。それ以上は我慢するから、キス…だけなら、いいか?」
やっと教えくれるのか…橘がどこに行って何をしてたのか……
その一件も、もちろん気になるけど、今はそれ以上に俺だって触れたいし、キスしたい。
でも、久しぶりの橘にはまだ慣れてなくて、恥ずかしさから消え入りそうなほど小さい声で頷くのが精一杯だった。
それでもこいつは、俺を優しく抱きしめてくれる。
優しく、優しく……
そして、俺たちの距離もいつしか…ぴったりと寄り添っていた……
心も身体も……何もかも、ぴったりと。
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