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海より深く 3

俺の一言に、心底びっくりしたような顔で見下ろしてきたかと思うと、すぐに穏やかな表情になる橘は相変わらずかっこよくて…俺はこんな時でも照れ隠しに悪態を吐いてしまう。 「……あんまり見んなよ。」 「別にいいじゃん、何今更言ってんだよ。」 「うるせー!」 「まったく…相変わらずのツンデレだな。耳まで真っ赤にして言われても逆に煽るだけだっつーの。」 こいつは…なんでこういつも余裕ぶっこいてんだ。 俺の気も知らねーで…… 呆れたような声とは裏腹に何故か嬉しそうにニヤニヤとしてる橘がムカついて突き飛ばそうとしたら代わりに押さえ込まれた。 恥ずかしい…… なんかよくわかんねーけど異常に恥ずかしいのはなんなんだ? 気持ちがついていかないとかってこう言うことを言うのかな。 めちゃくちゃ恥ずかしいのに好きな気持ちはどんどん溢れてくるし。 ダメだ……容量オーバーかもしんない。 「橘、あんまり顔近付けんな……なんか、ムリ…」 「久しぶりで恥ずかしいのか?どこまでも可愛いヤツだよ、おまえは。」 至近距離でそう言われ、そしてそのまま“さっきの返事”と、耳元で“ただいま”と囁かれる。 そんな甘い声に俺の身体中が一気に熱くなって、気付いたら自分から引き寄せ、熱を遷すようかのようにその唇に吸い付いてしまった。

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