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海より深く 12

ダメだ…久しぶりだから奥まで届き過ぎる。 「……ッ…ん…ふッ…」 「渚、気持ちいいか?」 「……ッ…知らッ……な…」 気持ちいいのは百も承知だけど、久しぶりにされて照れもあるわけだし、素直に頷けるわけもない。 だから、僅かなに残る理性を働かせた結果、また悪態を吐いてしまう相変わらずの俺。 だけど、いつもなら“素直じゃないとこも可愛い”とか砂糖吐くくらい甘い返しがくるのに今日は…… 「……………そうか。」 その一言だけ。 さっきも感じた違和感が少しずつ大きくなる。 なっ…なんなんだよ。 ふと、頭の片隅に引っ掛かる疑問──── あんまり……楽しんで、ない? んなことっ、 橘に限って…… 原因不明のモヤモヤが頭の中にこびりついて、 正直、頭の中ぐちゃぐちゃで、 「………そろそろ入れるぞ。」 なのに、整理出来ないままの俺の意思なんて置き去りにするかのように、事はどんどんと進んでいく。 そして、俺の身体に異変を感じたのは橘の熱が俺の中に挿ってきたすぐ後だった……

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