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海より深く 19

俺がイったと同時に中に埋る橘のから熱が発せられ、 「…ッ……あッ…」 ビクビクと身体が痙攣する中、体内に広がっていくその熱を感じながら、意識は確実に薄れていった。 でも、ここで意識を手放してしまったらいけない気がして、必死に意識を繋げ見下ろしている橘を呼ぶ。 「………はぁッ…んッ…たち…ば…な…」 「……ッ…なぎ…さ……ごめん。」 すると俺の額に手を伸ばし、汗ではりついた髪を掻き分けながら、橘が同じように泣きそうな声で俺をまた呼んでくる。 何に謝られているのか、どうしてこんなことをしたのか、どうしてそんな泣きそうなのか、今は少しでも知りたくて薄れそうになる意識の中、必死に口を開いた。 「ごめん…て…なんだ…よ」 「…………本当は、こんな顔…見せたくなかった。だから、目隠しとか卑怯なことしたんだよ。嫉妬して、あいつと同じように媚薬使って……ホント、馬鹿だよな…」 そういうことだったのか。 だから目隠しなんか…… 「……そ…うだったんだ…だから。つか、やっぱりさっき媚薬使ってたんだ。それに、向井が媚薬使ったなんてよく……」 「まぁ、何となく直感で。で、オレだってまだ渚に試してねーのに、媚薬で乱れる渚を向井に先に見られたかもなんて考え出したらまた腹が立って……」 「で、おまえも使ったわけか。」 「あぁ。そしたら、余計に腹立って逆効果で…止めとけばよかった。」

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