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海より深く 24

「勝手に人の携帯出て何してんだよ!つーか、向井に会う気なんだろっ!」 「……誤解するな。水飲みに起きて、リビング通りかかったら偶然渚の携帯が鳴ってるのに出くわしたからだ。勝手に出たのは悪かったけど……。それに、別にとって食ったりしねーから大丈夫だよ。ちょっと話してくるだけだから。」 タイミングがよかったのか、悪かったのか… それに、そう言われても橘の怒りは表に現れていない時ほど恐ろしくて、今がまさにそんな雰囲気だから何かヤバい気がしてならない。 「話するだけなら俺も行くから、とりあえず居場所を教えろ!」 『ダメだ、渚はうちでおとなしくしてろって。身体だってダルいだろ?』 「ダルいとか言ってる場合じゃねーだろっ、いいから居場所教えろってば!」 『…………来なくていい。渚が来たらややこしくなるんだよ。』 案の定、バッサリ拒否された。 でも、今この二人を会わせたら、絶対ろくなことないに決まってる。 「んもー!!何で俺抜きで話片付けようとすんだよ!」 『だから、何を言われてもダメなものはダメだっ!!』 そう完全に拒否され、そのまま一方的に電話は切られてしまった。 そのあとすぐにかけ直しても留守電にされちまってなすすべなしだし…… くっそー!! あいつ何考えてんだよー!! 行き場のない気持ちを当て付けるように携帯をテーブルに投げつけ怒りを吐き捨てた。

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