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海より深く 28

* 「……で、たまたま道で会ったと?」 「だからっ、さっきから何回も何回も言ってるじゃねーか!向井に会ったのはたまたまだっつーの!」 「ふーん……たまたまねぇ」 「マジで偶然だから!!」 ままままままずいっ……!! 橘の不機嫌…いや、怒りがマックスだ。 そんなにあからさまだとさすがの俺もビビる…… 俺を乗せたチャリが着いた場所は、学校とマンションのちょうど中間にある、あの公園だった。 そして俺たちが着くと、すでに橘は公園入口のベンチに座っていて、俺たちを視界に写した瞬間の恐ろしく不機嫌な顔。 あの顔を見た時、一気に血の気が引いて、向井とタイミングよく会った勢いで一緒に来てしまったことを大いに後悔した。 だって、不機嫌なのは分かるけどあんなに恐い顔見るの初めてじゃないかってくらい恐い。 「でさっ、何で渚もついてきたんだよ。うちでおとなしくしてろってオレ言ったよな?」 「それもさっきから何回も言ってるように、俺だって話に加わる権利あるだろ!……俺のことなんだから。」 「まぁ、相原がいようがいまいがどっちだっていいでしょ。それともあんた、そんなに相原に聞かれちゃまずい話でもすんの?」 「はぁ?…んなことねーし。」 火花バチバチとはまさにこの事だ。 これは二人だけだったらマジでヤバいかったかも。 だ、だって、め……目が、マジだ。 そんなあたふたしてる俺を横目に、 「まぁ、それはどうでもいいや。本題だけど…あの、めんどくさいのではっきり言わせてもらう。 俺は相原のことが好きだ。生徒会長だかなんだか知らないけど、突然現れてこられても相原をそばでずっと見てきたのは俺なんだよ。 だから、あんたに相原のことは渡さなし………相原のことは諦めろ。」 ……そんな向井の告白は突然始まった。

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