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海より深く 30

「………相原?」 「あ……えっと……」 向井からの鋭い視線と橘からの無言の圧力…… なんなんだこの緊迫した空気。 これ、ある意味羞恥プレイじゃねーか?! だって、橘がどれだけ俺を好きかってことを向井に言わなきゃいけないってことだよな? 「渚、誤解されるから早く言えって。」 「だって……。つか、おまえが自分で言うのが一番早いだろ!俺がわざわざ…」 「バカ渚。それじゃ意味ねーんだよ。」 はぁ?全く意味不明なんだけど! 「……あのさ、ちょっとは頭使って考えろ。」 「だって………あ……」 「分かったか?」 「……うん、なんとなく。」 向井は橘を敵視しているわけだから、何を言っても否定的に捉える確率が高い。だったら俺が言った方が信憑性はある。 だから、わざわざ俺の口から言わせたいんだ。 なんてったって向井は俺を好きだと言うくらいだから。 だから、か……が、しかし! が、しかしだよ!! 何をどう話したら信じてもらえるんだろう。 花火の時は説得失敗だったし…… 「……えっと────」 そして一応、俺が知ってる橘のことや俺をどれだけ大事にしてくれてるかってこと、再度納得してくれるように俺なりに精一杯話してみた。 でも、まぁ……… 「……あんたのこと誤解してた部分はあったのは認めるけど、相原を諦めるかってことはまた別問題だから。」 俺が言ったって、そうなるよな…… あー!もー!! 世の中の三角関係はどう対処してるんだよっ!!

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