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海より深く 33

あっという間に抱き寄せられると、そのままおでこに触れるだけのキスを落とされた。 いつもなら確実に唇へ、ディープなキスをされる流れなのに…なんなんだ? この甘い空気感、いったいなんなんだ?! こいつ…こんなに優しかったっけ…? 「………あ、あの…たち、ば…な?」 「…………うち帰ったら消毒してやるから、それまで我慢な。」 そう言うこいつの顔を見て思い出した…… それは、いつも俺だけに見せてくれる優しい顔。 時々俺でもびっくりするくらい過保護で、俺を本気で心配してくれる──── だから、 「………ごめん、気を付ける。」 なんだか、不思議と俺も素直になれた。 「………はぁ……」 そんな俺たちの甘い空気を壊すかのように聞こえてきたため息。 「……二人の世界ってやつか。」 「あ……いや、あの…むか…」 結果、向井に見せつけるようになってしまったと気づいた時には遅かった。 「そんなの見せつけられるとさぁっ!」 「えっ…ちょっ…向井っやめっ…!」 「壊したくなるんだよっ!!」

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