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海より深く 39

「タイム…リミット…?なんだそれ?」 「オレは──── 高校を卒業したら許嫁と結婚する。」 「………え…」 今なんて言った? 許嫁って…… 結婚って…… あまりも突然な単語ばかりで全く理解出来ない。 「廣瀬さん…それ…本当に…」 もしかしたら、こいつが意地悪で言っているだけかもしれない。だから、信用出来る廣瀬さんに答えを求めたけど…… 「……それは、本当です。坊っちゃんが小さい時から決まっていたこで、高校入学と同時に旦那様と奥様がその件について坊っちゃんに全てお話しました……それを踏まえ、決断されたことです。」 え…… 決まっていた? え…… ちょっと…待てよ…マジか…… 結婚するってことは、 俺との恋は高校三年間で終わるってこと…… こんな夢中にさせといて、そんなことって…… 忘れたわけじゃないけど、橘は橘財閥の将来を背負ってる。 そんなことは分かってる。 分かってるし、 分かっていたから……… やっぱり、 大好きだけど…それだけじゃどうにもならないこともあるのか…… 思考が完全に止まり、真っ白な俺の頭ん中に浮かんだのは、 そんな、酷く他人事のような台詞だった──── ****** 次回→最終章「惑わすほどに」 最後までよろしくお願いします。

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