462 / 498
惑わすほどに 14
急に、いつも見たことない真面目な顔でそんな事を言われたもんだから、俺もどう答えていいものかわからない。
それに、その横顔はどこか寂しげに見えるのは…気のせいなんだろうか。
「渚?」
「は、はい?」
「おまえに1ついいこと教えてやる。」
「なん……ですか…?」
「────俺も渚と同じなんだよ。」
「……は?」
「正確には“同じだった”…かな。」
「あ…の……」
「昔、俺も渚みたいな恋をしたことがある。」
俺と…同じ?
それって、ほっしーとのこと?
いや、過去形ぽいから違う人な気がする。
それに、同じと言うことは…相手は男で金持ち…ってことになるけど。
「それって…男…同士で……金持ちだったってことですか?」
「おいおい、もうちょっと気の利いた言い方ないのかよ?」
「だって、俺と同じってそう言うことですよね?違うんですか?」
「まぁ、それはご想像におまかせしますってことで、俺が言いたいのは、男でも女でも金持ちだろうと…好きなら諦めるなってこと。」
「先生はその人とは……」
望月の意外な告白にびっくりしつつも、終わってしまたったその恋の行方が、俺は何故か気になって仕方なかった。
ともだちにシェアしよう!