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惑わすほどに 15
「……俺たちは、結局ダメだった。だから、俺が言うのも説得力に欠けるけど…おまえたち見てると……」
「え……?」
「いや、なんでもない。」
何かを言いかけて口を閉じた望月。
俺にはその先に続く言葉が何なのか分かるはずもなく、次に発せられる言葉をただ待つしかない。
だけど、
聞こえてきたのは────再び繰り返される俺への説得染みた言葉の数々だった。
「…………でも、家柄とか後継ぎとか…男同士とか、そんなことは、好きな気持ちがしっかり存在するならどうにでもなるんだよ。大事なのはお互いの気持ちだけだ。」
「あのさ、気持ちでどうにかなるならこんな悩まないですよ。」
「おまえさぁ、それマジで言ってんの?」
「は?」
「は?じゃねーよっ。俺の知ってる渚はそんな諦め早い奴じゃねーと思ったけどなぁ。」
俺の何を知ってるって言うんだ。
俺だってこんなことになるなんて思ってもみなかったっつーの。
「先生、俺…正直、もうどうしたらいいかわかんないんですよ。」
「だからっ、さっきから言ってるじゃねーかっ。好きなら突き進めっ!」
「他人事だと思って…なんなんですか。」
「あのさ、教師が普通こんなこと言わないぞ?大人なら大抵は別れろってなるのに俺はちゃんとおまえらのことを考えてアドバイスして言ってんだよっ。これの何処が他人事なんだっ!」
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