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惑わすほどに 22
「解消って…んなこと、無理に決まってんだろっ!!」
「無理かどうかはオレが決める。」
こんな時でも俺様なおまえはすげーな。
でも…
「今回ばかりは無理だろっ?!家が絡んでんだ、一人だけの問題じゃねーし。それに…俺、男…だし、小春ちゃんの代わりにはなれないだろ!」
「まぁ、渚とは結婚は出来ないけどな。」
ほらみろ。結局はそうだ。
「でも、オレが何も考えてないとでも思ったか?」
「……え」
「確かに、高校を卒業したら小春ちゃんと結婚するのは本当だった。だけど、それは渚に出会う前までの話だ。」
「意味が分かんない。」
「分かんなくしてんの渚だろ。さっきもこの話しようとしたら渚はマンション出てっちまうし、だから小春ちゃんに先に話しちまった。」
「何を?」
「許嫁は解消させて欲しいって。だから、小春ちゃんとは結婚出来ない…って。」
「ちょっ!マジかよっ!何のためにんなことっ!」
「なんの為?そんなの───
渚の為に決まってんだろ?」
……って、
気付いたら抱きすくめられ、その腕の中で…そう言われた。
そして、
「オレの為に、泣くほど好きになってくれた渚を手放すわけないだろ」
なんて、クサイ台詞を言うと、俺の頬に手を置き……
涙が伝う目尻に優しいキスをされた。
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