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惑わすほどに 33
「……い…い…いたい…よ。でもやっぱり、俺がいたら……おまえが社長になった時とか世間の目とかもあるし、俺、足手まといになるんじゃないか…って普通思うだろ。」
「まだそんなこと言ってんのか。あのさ、このオレが世間体とか気にするとでも思ってるのか?」
「思ってない…けど。でもっ!」
「だから、何があっても何か言われてもオレが渚を守るから大丈夫だって。それが、愛するってことだろ?だから、いい加減…渚の返事を聞かせてくれよ。」
愛する……、か。
俺、それでいいのかな。
うん…って頷いていいのかな。
少しは素直になってみても……いいのかな。
正直、まだ迷ってる。
でも、俺は色んなことに臆病になってて、一番大事なことを見失いそうになっていたのかも。
この先、何があるかは分からないけど、俺が今、どうしたいか、だよな……
「俺…も…橘とずっと一緒にいたい。もう一人になるのは嫌だ。」
そして、
変わらない想いを、
溢れる言葉に乗せて、
俺は……素直な気持ちを伝えた。
やっぱり好きなんだ。
すげー好きだから、ずっと近くにいたい。
俺たちに一番大事なことは、そんな強く想い合う気持ち。
そんな俺の不器用な想いでもちゃんと橘に届いたみたいで、俺を見つめる橘はとても優しい顔をしていた。
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