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惑わすほどに 36
俺たちって、1年の時どっかで会ったことあったのか?
いや、ないよな?
じゃあ………いつ。
「その辺は…また後で。それより……」
だけど、俺の質問攻めをスルーして一方的に話は打ち切られ、もう黙れと言わんばかりにそのまま俺の口を塞ぐようにキスをされた。
「………ッ…んんッ……ちょっ…」
さっきみたいな軽いキスじゃなくて、深くて身体の芯まで熱くなるような激しいキス。
気持ちよくて、甘くて、蕩けそうで……
あぁ……
…………好き。
………大好き。
今は心底そう思った。
「渚……?」
「……ッ…な…に」
そして、離れていったその唇が再び熱い想いを口にしてくる。
「今までも、これからも、ずっとずっと────…渚だけを愛してる。」
「……俺も────…好き、
いや、俺もずっと、ずっと
────…優人のこと…愛してるよ。」
それに応えるように俺もありったけの想いを伝え、同じように“愛してる”と伝えるとまた嬉しそうに橘は微笑んだ。
こうして想いを伝え合った時の、この全身を駆け巡る言葉にできないくらいの感情……
これが、
“愛してる”
ってことなのかなって…
そうぼんやりと思い、愛しい人の胸に抱かれ再び溢れてきた涙を拭うこともせず、静かに、静かに………俺はそれを実感した。
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