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エピローグ 2

それに、あと一つ…… 「今日が俺たちが初めて出逢った日で、明日が優人の社長就任パーティー。で、ついでに俺たちの結婚を正式に発表する日、だろ?」 「ついで?」 「……あー…えっと、俺と優人の大事な大事な結婚を正式に発表する日。これなら文句ねーだろ。」 そう、一番変わったことと言えば、俺が“優人”って、呼べるようになったこと。 出逢った頃は、恥ずかしくてずっと苗字で呼んでたけど、少しずつ頑張って呼べるようになった。 今では、“橘”と呼んでいた高校時代が懐かしいくらいだ。 「だろ?知ってるならもっちょっと空気読めよ。今日だってちゃっかり仕事入れやがって。」 「仕方ねーだろ。今日中に片付けねーと明日休み取れねーんだよ。」 俺だって忘れてたわけじゃない。 でも、まだ社長ではないとはいえ優人の立場でも毎日分刻みのスケジュールで、秘書になって管理してみて大変さを思い知らされたから正直記念日だからとか言ってる場合でもなかった。 今日だって、どうしてもって言うからスケジュール調整してなんとか時間を作ったら、 「記念日だから、出逢いからプロポーズまでを振り返りながら話せ。」 …とか言い出して、何故か数時間かけて俺たちの高校時代を振り返りさせられている。 「高校3年の春まで話したんだから、もういいだろ?予定外でマジで時間ヤバいんだって!」 「おまえ、秘書になってから細かい性格になったよな?昔は大雑把だったのになぁ…つまんねー。」 「そりゃ細かくもなんだろーよ!それに秘書になれってしつこかったのおまえだからな!」

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