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エピローグ 4
「気持ちだってあの頃から変わらない。今も渚が一番大切だ。」
あの頃に比べたらちょっと低い声。
だけど、昔からずっと俺を大事にしてくれてるのは何年経っても変わらない。
そんな、今もこうして変わらない気持ちを与えてくれる優人だけど、
「み…み…耳元でそんな囁くなよっ!」
俺の性格は相変わらずだ。
「顔真っ赤……。なーんか、久しぶりに見た…そんな顔。」
「は…?!何がっ!?」
「オレのことが好きで好きでたまらないって顔。
最近ずっと仕事仕事で、お互いこうやってゆっくり出来なかったからさ…そんな顔も久しぶりだなぁと思ったわけ。」
「………そ…そうだけど、そんな顔はしてねーし!好きで好きで……とかっ!」
「は?違うの?オレのこと好きだろ?」
「し、知らねーよっ!」
「まったく……」
相変わらず素直になれない俺は、心の中で悪態を吐きながら必死に冷静さを保とうとした。
なのに、目の前のこいつは俺を至近距離から熱く見つめ続けてて、正直ヤバい。
それに、まだ今日だってこれから山ほど仕事が残ってるんだ。こんなとこでこれ以上はダメだ。
「もっ…もう…行かないと…ゆ…」
「ん?……あぁ、そうだな。でも、ちょっとだけ…補給させて。」
「だっ…って…時間…それに、」
それに、真っ昼間から外でスーツ着た男二人が抱き合ってるとか…色々とヤバいだろって言う前に、こいつはお構い無しに抱きしめる腕にギュッと力を込めてくる。
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