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エピローグ 5

「やっと…だ。」 そして、 耳元でそうぽつりと囁くと、俺の右手の指輪にその手を重ねながら…優人は静かに言葉を繋いでいく。 「────やっと……約束が果たせる。明日がしみだ。」 その言葉の意味を理解して、胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。 そうか。 そういうこと……なんだよな。 『いつか必ず左手に付け直してやる…』 そう言われて10年。 それがいつかなんて俺には分からなかった。 きっと考えがあって、その日を決めるんだろうって思っていたから、何も言わずに待ち続けた……優人はそういう奴だから。 でも、ついにその日が明日…なんだよな。 「………ゆ…う…と…あの…さ…」 「いいよ、言わなくて。」 「え……?」 「……明日にしよう。全部明日聞くから、今日はこれ以上こうしてたら我慢出来なくなる。だから────…」 だから、これでおしまい…と、触れあうだけの短い口づけを落とすとゆっくりと身体を離していった。 すると次は瞬間、ざわっと風が吹き、桜の木が音を立てて揺れ出すと…… そのまま、甘い香りと共に桜の花びらが一斉に宙を舞い、俺たちの元へと降り注ぐ──── 淡いピンク色の花びらが幾重にも舞うそれは、とても幻想的で綺麗で、 それは、まるで俺たちを祝福してくれているようにも思えた。 「ずっと……見られてたんだもんな。」 「渚?」 「いや、なんでもない。あーこんな時間だっ!優人、マジでヤバい、さっさと取引先行くぞっ!!」 この桜の木は、毎年俺たちを見守ってくれていたんだ。 10年経っても変わらず俺たちをここで…… ずっと…… ずっと…… この場所で──── ──────── ──────

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