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エピローグ 7
「…………はぁ」
「なんだよ、そのため息。」
廣瀬さんが部屋を後にすると優人が深いため息を吐いて、俺を睨んでるのが視界に入った。
「別に。」
「気に入らないことでもあるのかよ。」
せっかくの日なのに、最悪な雰囲気……
俺の緊張を除けばいつも通りのはずなのに。
何かがいつもと違う。
そんな違和感を抱きつつも、今は目の前の世話がやける恋人をなんとかしないとと、とりあえずその不機嫌な理由を問い質した。
だけど、返事はさっきと一緒。
「…………別に。」
「あのさ、あと一時間もしないうちにパーティー始まるんだぞ?そんな顔で表出るわけいかねーだろ、怒ってる理由を言えって!」
「別に怒ってねーし。そんな顔ってどんな顔だよ。」
「あーもうっ!めんどくせーなっ!!そんな、不貞腐れた顔で社長として挨拶出来ないだろ?また俺が怒られんだよ。たくっ、廣瀬さんの大変さが最近やっと理解出来てきたぜ。廣瀬さんは我が儘な優人の面倒ずっと見てきたんだもんな…ホントすげーよ。」
「おい、廣瀬廣瀬ってうるせーよっ!」
「そんな言い方ってっ……あ…」
もしかして……
分かったかも、こいつが不貞腐れてる理由が。
「優人?」
「なんだよ。」
「ここ座って?」
そう言いながら、ソファーに座り俺の隣を指差す。
そして、無言で言われた通り俺の隣に座る優人を確認すると、
そのまま後ろから抱き寄せた。
「お…おい、渚っ?!」
「優人……これからも、よろしくな。これからも、ずっと隣に居るから……」
慣れないことはするもんじゃない。
後ろから抱き締めてるだけなのに、すげー恥ずかしくて顔が熱い。
だけど、多分これで優人の機嫌も直るはず。
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