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エピローグ 8
「なっ…ぎさ?!どうしたんだよ?」
「こういう事だろ?優人が怒ってた理由って。」
多分、こいつは廣瀬さんに嫉妬してる。
俺が優人より先に廣瀬さんに「よろしく」と言ったことが気に入らなかったんだと思う。
「…………さすが秘書だな。」
「秘書とかは関係ない。何年一緒にいると思ってんだよ。」
「………だよな。」
「さて、おまえの機嫌も直ったとこだし……ってちょっ!!」
これで一件落着だって、身体を離そうとしたら急に視界が反転して気付いた時にはなぜかソファーに押し倒され……
「ちょっと!何考えてんだよ!もうすぐ時間……っんんっ…」
そのままキスされた。
あと少しで廣瀬さんが迎えにくるのに、スーツがシワになるのに…ふわふわする頭の中でそう必死に理性を働かせる。
「……ッ…ん…あぁ…ッ…ゆ…と…」
だけど、深いけど優しいキスで、緊張が解けていくみたいに身体の力が抜けて…気付いたら自分から舌を絡ませてしまった。
気持ちよくて、快感で吐息が漏れる頃、絡まる優人の舌は俺の首筋へと。
そのままネクタイを少し緩め鎖骨の辺りに舌先を這わせ強く吸われ跡を付けていく。
「…ッ…あぁ…んッ……」
「あんまりオレを煽るなよ……」
鎖骨に一ヶ所、俺が一番感じる耳の付け根に一ヶ所…と、痕を付けながら耳元でそう熱く囁かれる。
「煽っ…て…んんッ…な…い…」
煽るつもりなんて全くないのに、こいつはいつもそうだ。
突然スイッチが入るらしく、そうなったら途中で止めることは殆どない。
だけど、さすがに優人も分かってるのかそれ以上はせず、もう一度唇にキスを落とすとゆっくりと顔を上げ、俺を抱き起こして元通りに座らせてくれた。
「本当ならもっと触れたいけど……時間なくなっちゃうから、帰ったらな。」
まだ熱が残る俺をよそに、そう言い、優人がポケットから小さな箱を取り出し、右手を出すように促してきた。
素直に俺が右手を差し出すと、薬指にはまる指輪に手をかけ外そうとしたから、なぜか咄嗟に手を引いてしまった。
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