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 その綺麗な笑みにつられ、無意識に……蒼生はぎこちなく笑みを浮かべる。 「かわいい。口、あけて」  言われてすぐに口を開いた。もう、律の命令に従うことへの違和感は無い。すると、唇に冷えたものが当たり、「食べていいよ」の声した。言われた通り口へと含んで咀嚼(そしゃく)をすると、みずみずしく甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。 「おいしい?」  声に何度も頷き返せば、「苺は好き?」と尋ねられる。「好き」と答えて口を開くと、再び苺が与えられ、無心に何度も繰り返すうち、蒼生の意識は朦朧(もうろう)として、嬉しいという感情だけで心の中が満たされた。  *** 「もういらない?」 「ん……んぅ」  開かなくなった蒼生の小さな唇へと、苺をピトリとつけて問う。すると、困ったような表情をして、唇を薄く開いたから、「無理に従わなくていい」と告げれば、ホッとしたように頷いた。 「おいで」  両手を蒼生に差し伸べると、戸惑(とまど)うようなそぶりは見せたが、腕の中へと入ってくる。  椅子から降りて床へと膝をつき、小さな体を包み込むように抱きしめる。と、律の胸へと顔を擦り寄せてきた蒼生は、「きもちいい」と小さな声で呟いた。 「蒼生は素直でいい子だね」 「……あっあぁっ!」  耳元でそう囁いただけで、達してしまった薄い体が、腕の中でヒクッヒクッと跳ねあがる。  そういえば、苺を与えることに夢中で、性器に触れる許可を出すのを忘れていた。 「ごめん。辛かったな」  謝りながら、強く体を抱き締める。  すると、「ごめんなさい」と答えた蒼生は、腕の中でカタカタと体を震わせた。 「俺が悪いんだから、謝らなくていい」  まさか、触れもしないのに射精をするとは思わなかった。Subドロップに陥ったため、体が誤作動を起こしているのかもしれないが、こうも素直に受け入れられると(いささ)か心配にもなった。  DomやSubにも多種多様なタイプがいる。     中には、Domの命令を拒絶したり、欲しい命令(コマンド)を言わせたりできる強いSubも存在するが、蒼生はDomに従順過ぎるタイプなのかもしれない……と、考えながら律は口角を引き上げた。  今、蒼生は大きめのTシャツと、下着だけしか着けていない。サイズ的に、手持ちのもので着せられるものがそれしか無かった。 「見せてくれる?」  そう尋ねながらシャツを(まく)り、履かせているボクサーパンツの股間部分へ指を這わせると、そこはしっとりと濡れている。 「……あっ」  蒼生の口からこぼれた吐息が鼓膜を(くすぐ)り、支配欲が掻き立てられた。「(さら)せ」と命令したいところだが、 抑圧するより、まずは信頼してもらうことが大切だ。 「嫌なら言って。怒らないから」  少し身体を離した律は、潤んだ瞳を覗き込む。すると、膝立ちになった蒼生はパンツを下げてから、震える指でシャツの裾を胸元まで捲りあげた。 「ありがとう。上手にできたね」  萎えた性器にそっと触れ、精液を指で(すく)いとる。と、(あざ)だらけの細い体が驚いたようにヒクリと跳ねた。

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