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 ***  翌日、律と一緒に遅めの朝食を取り終えたころ、インターフォンの音が響いた。来客があると言われていたから驚きはしなかったけれど、初対面の人と会うことには緊張する。 「はじめまして。俺は白石龍真、律の友人だ」 「竹花蒼生です」  立ち上がり、なるべく相手に伝わるように返事をすれば、玄関まで迎えに出ていた律が(かたわ)らにやってきて、褒めるみたいに頭をふわりと撫でられた。 「珍しくだいぶ降ったな。幹線道路は除雪が間に合ってるけど、高速はまだ止まってる」  上着を脱いだ白石は、馴れた様子でそれをハンガーに掛けた後、「まだ顔色は良くないな」と言いながら、蒼生の正面の椅子に座る。 「これでも昨日よりはだいぶいいんだ。コーヒー淹れてくるから、ちょっと待ってて。蒼生は体が辛かったら、ソファーに行っていいから」  そう言い残し、アイランドキッチンへと向かった律を目で追っていると、「少しは落ち着いたか?」と訊かれて蒼生はあわてて視線を戻した。男らしく整った容姿をしている白石は、律よりもさらに筋肉質で体格がいい。   蒼生を助けてくれた日は、フットサルを一緒にしていたと言っていたから、きっと彼もスポーツマンなのだろう。 「はい。先日は、ありがとうございました」  目の前にいる白石が、律と一緒に自分を助けてくれたことは、さっき聞いたから知っている。礼を言いながら頭を下げると、「早く元気になれよ」と答えた白石は、人なつっこい笑顔を蒼生に向けてきた。  つられて笑みを浮かべた時、トレイを持った律がキッチンから戻ってきて、コーヒーカップを白石と蒼生の前に静かに置く。それから、蒼生の隣に座った律は、コーヒーを一口飲んでから白石に話をきりだした。 「で、どうなった?」 「ああ、18歳で成人だから、本来なら親権者の許可はいらないんだけど、念のために話は通してきた。先方は彼の好きにしていいってさ。アパートは月末で解約されることになった。それに、今後学費が発生した場合は全額を支払うそうだ。財産分与に関しては――」  仕事の話が始まったようで、蒼生には意味が分からない。なんとなく耳を傾けながら、目の前に置かれたカップを見ると、蒼生の分だけホットミルクが入っていることに気がついた。分かったとたん、甘い香りが漂ってくる。 (美味しそう)  飲みたいと思った蒼生だが、音を立てることで話の邪魔をしたくなかったから、2人が飲むタイミングで自分も飲もうと考えた。

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