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 *** 「今は雪が降ってるけど、晴れてたら富士山が見えるんだ」  まずは体を洗ってから、ジャグジーで少し温まって露天風呂へと移動した。外に出た瞬間は、寒さにカタカタと震えていた蒼生だが、今は隣で気持ちよさそうに温泉へと()かっている。  2人入ってもまだ余裕のある岩風呂を満たす温泉は、褐色(かっしょく)がかった淡い飴色(あめいろ)で、なめらかな泉質だから、肌が弱い蒼生が入っても問題は無いだろう。 「富士山……ですか」  雪の降る空を見上げたまま、答える蒼生の白い頬はうっすらと上気している。さきほどから、(かたく)なに律を見ようとしない理由は分かっているけれど――。 「蒼生、Look(こっちを見て)」  ここは、あえてコマンドを使用することにした。肩を抱き寄せ耳元で低く囁くと、驚いたように身体が強ばり、それからゆっくり蒼生の顔がこちらへと向けられる。 「いい子」  揺れる視線が定まるのを待ってから、頭を撫でて褒めてやれば、黒曜石のような瞳に明らかな喜色が浮かんだ。 「顔が赤い。のぼせたかな?」  頬に手を添えて問いかけると、首を左右に振った蒼生は睫毛(まつげ)を伏せ、「少し……恥ずかしいから」と、震える声で返事をする。 「もしかして、蒼生は一人で入りたかった?」 「違います。そうじゃなくて……あっ」  懸命に言葉を探す蒼生の体を抱き寄せて、「馴れて欲しいな」と告げてから、「蒼生、Kiss(キスして)」と命令をする。と、一瞬の逡巡のあと蒼生は律の肩に手を置き、膝立ちになって唇へと触れるだけのキスをした。   「んっ、んぅっ」  刹那、細い体を膝の上へと引き上げた律は、軽いキスを繰り返しながら、肌と肌とを密着させる。同時に背中を撫でさすると、体から徐々に力が抜け落ち、蒼生の口から心地良さそうな吐息が漏れた。 「セーフワード、覚えてるよな」 「は……はい」  キスを止め、顎を掴んでこちらを向かせれば、(とろ)けたような虚ろな瞳には、隠しようもない艶が滲んでしまっている。  これまで何度もプレイをしたが、させたのはキスと自慰(じい)までだ。体調面や精神的の負担などを考慮して、自慰を手伝うことはあったが奉仕をさせた事はない。  それても、蒼生の持つ隷属性(れいぞくせい)はこれまで会ったどのSubよりも強かった。 「蒼生、Stay(そのまま)」  膝から蒼生を降ろした律は、湯船からいったん立ち上がり、風呂の(ふち)へと座り直す。すると、脚の間に蒼生が正座をしているような格好になった。  当然、動揺した蒼生は顔を背けようとするけれど、律が「Stop」と言えば素直に動きを止める。 「えらいな」  蒼生の唇を指でなぞり、優しげな笑みを浮かべた律は、「蒼生、Lick(舐めて)」と命じながら、まだ萎えている自身の性器の指し示した。  

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