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「ヴゥッ!……うぅっ…んんっ!」  嘔吐(えず)いた蒼生の細い体がビクビクと大きく痙攣する。目の前が白い色に染まり、意識が急激に遠のくが、次の瞬間襲った痛みに現実へと引き戻された。 「んぐっ! ううぅっ!」  性器を踏みつけられたのだと……頭が理解するよりも先に手が動く。縋るように律の足へとしがみつくが、止めて欲しいと伝える術を蒼生は持っていなかった。 「もう少しだけ……頑張れるよな」  聞こえてきたのは微かに掠れた律の声。明らかな色香を纏ったそれに、蒼生の背筋を間違えようのない快感が這い上がる。 「んっ……う」 (そう……だ)  この時、律の性器が自分の口内で大きくなっていることに、蒼生はようやく思い至った。 (……うれしい)  どんな形であれ、律が喜んでくれているなら、苦しくても従いたいと強く思う。だから、蒼生は懸命に喉を開き、吐き気を必死にこらえながらも律の性器を受け入れた。 「んうぅ……ぐぅっ」  開きっぱなしの口の端からは唾液が垂れて顎を伝い、酸素が足りなくなったため、思考 がうまく働かなくなる。  けれど、時が経つにつれ苦痛は愉悦にすり替わり、律に踏まれて痛かったはずの性器は徐々に(うず)きを覚えた。   「腰が揺れてる。気持ちいいんだ」 「んっ、うぅっ! ふぐぅっ!」 「上手。俺も気持ちいいよ」  蒼生は今、律のつま先に性器を(こす)りつけているが、本人にその自覚はない。ただ、褒められたことで蒼生の心は多幸感に包まれた。 「……ンッ、ヴゥゥッ!」  カクカクと腰を前後させながら必死に性器をしゃぶっていると、しばしの後、律の動きがひときわ激しくなってから、口腔内へと生温かい液体が放たれる。  それと同時に脳天までもを強い快感が突き抜けて……口から性器が抜かれた瞬間、蒼生は激しく咳込みながら、ヒクッヒクッと小刻みに体を震わせた。  「あっ、あうっ、あっ、あっ!」 「蒼生、ここにいる」  混乱し、バシャバシャと湯を引っ掻くように藻掻(もが)く蒼生の体を抱きしめ、あやすように額や頬へとキスをしながら、律が囁きかけてくる。 「うぅぅ……うぅ」 「大丈夫だから」  そのまま抱き上げられた蒼生は、律の体にしがみつき、震える声で「ごめんなさい」を繰り返した。咳き込んだ際に口から精液をこぼしたこと、律の命令に反して達してしまったことは自覚している。 「お湯……汚して、ごめんなさい」    必死に言葉を紡ぐけれど、聞こえていないのか? 律は返事をしてくれない。  抱えられたままジャグジーのシャワーで顔と体を軽く洗われ、大きなタオルに(くる)まれた蒼生は、脱衣場に備え付けてある籐の長椅子(ながいす)にそっと体を横たえられた。  その後、自身も体を流してから、バスローブを着てこちらを向いた律の姿を目に映し、蒼生は無意識に椅子から床へと降りようとする。しかし、少し体を動かしただけで強い眩暈に襲われた。

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