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第2話

「オナホの企画が通ったよ!」 「嘘だろ」 代表に呼ばれ事務所に行くと浬さんもいて、浬さんが開口一番にそう言った。 代表は笑顔で企画書を渡してくる。 「オナホの企画というか、ぬるいSMものなんだけどね。」 「……SMしたことないんですが……」 「今日から勉強しようね。」 代表にそう言われると頑張るしかない。 俺は彼に恩しか感じていないので。 最初に言われていた通り、この事務所は超ホワイト。 嫌がることは基本的にさせないし、体に傷が残るようなこともしない。少し気持ち良すぎて辛い事はあるかもしれないけれど、精神的苦痛にはならない。 そして何より、コンビニのアルバイトよりもずっとずっと稼げている。 「頑張ろうね。俺、叩かれるの楽しみ!」 「俺、快楽責めとかはできても、痛いことするのは苦手なんで、叩くのとかは嫌です。」 「えぇ……軽くペシンってお尻叩いてみる?そしたら変わるかも。ほら」 「いや、叩かないって。」 わざわざ尻を突き出してきた浬さんにジト目を向ける。代表はくすくす笑って「まあ、台本通り、頑張って」と言った。 今日の用事はそれで終わり。けれど浬さんはこれからジムに行くらしく、そこで別れて俺は帰宅した。 帰ってすぐ、もらった台本を開けると一ページ目に付箋が貼ってあって、「何だこれ」といいながら書かれている文字を読む。 「……代表、楽しんでるな。」 そう言いながら、俺の口角も上がっていた。 ■ 撮影当日 時間になって準備をする俺と浬さん。 俺はしっかりと服を着ていて、浬さんは下着にバスローブを着ている。 この後彼は全裸で俺に拘束されるわけだが、撮影が楽しみなのか「ウキウキワクワク」と声に出していた。 「台本読んでるうちに興奮して三回抜いた」 「え……あ、そうですか。」 「俺はMの役だからさ、痛い事されても嬉しいし、気持ちいいんだよ。だから千暁もSになって、楽しく撮影に挑もう!」 「期待に応えられたらいいけど……」 「大丈夫!千暁はいつも上手だから」 ちゅ、とキスをされる。 恋人になってから、彼はこうしてキスしてくれることが多くなった。 「撮影始まったらそのニヤケ顔やめてね」 「わかってるし」 「俺にキスされて嬉しいね」 「それは浬さんでしょ。俺にキスできて嬉しいね」 「嬉しい!」 スタッフが準備のためのローションとアナルビーズそれからアナルプラグを持ってくる。 それを預かって彼をシャワールームに連れていき、バスローブと下着を脱がせ四つ這いにさせた。 「挿れるよ」 「うん」 ローションで濡らしたアナルビーズを後孔に入れていく。全部が埋まる頃には苦しいのか、眉を寄せていた。それが出せないように最後にプラグを嵌める。 「大丈夫そう?」 「……ん、苦しい、けど」 「すぐ撮影始めてもらおうね」 準備を終えて、浬さんを支えながら二人でセットに移動した。 「本当にダメな時は『死んじゃう』って言って。」 「ああ、気持ちよくて?」 「何でもいい。そしたら止めるから」 「わかった。ありがとう」 キスをして、深呼吸する。 浬さんに首輪を着けて、床に座らせ、間もなく撮影が始まった。 ■ 首輪に繋がるリードを引っ張って、苦しそうにする彼を四つ這いで歩かせる。 部屋の真ん中にあるソファーに座り、目の前で犬よろしくお座りをする彼に微笑みかけた。 鼻息荒く俺を見る様子は、どこからどう見ても興奮している。 「舐めろ」 「っ、はい」 リードをクッと引いて、苦しそうに息を詰めた彼は慌てて近付いてきて、俺の股間に顔を埋める。 口だけで下履きの前を寛がせ、ペニスを取り出すとピチャピチャ音を立てて舐め始めた。 控えめに舐める動きが焦れったい。彼の後頭部に手を置いて引き寄せながら、腰を突き出すと、目を見開いた浬さんは嘔吐いて顔を離した。 「ダメだろ。ちゃんと咥えないと」 「っ、ごめんなさい」 もう一度、そう冷たく言うと彼はまたペニスを咥えてジュブジュブ頭を動かした。 自分から喉を開いて奥まで。少し目を虚ろにさせて呼吸が限界に来たら引き抜き、唾液をポタポタ垂らしながら必死に奉仕する。 それを何度か繰り返し、彼の喉奥に一度目の射精をする。しっかり飲み込んで口を開け中を確認した後、リードを引いて立たせた。 「ソファーに上がって。俺の膝を跨ぐように四つ這いになって」 「んっ、はい」 指示通り、四つ這いになった彼。 尻に挿入されたままのプラグをグリグリ弄ると小さく声を漏らしながら身体を震わせる。 お腹が苦しいのか、固く拳を作っていて、チラッと顔を覗くと眉間に皺が寄っていた。 ジュポっと汚い音を立ててプラグを抜く。 「自分で出せるよね」 「っ!」 「できない?」 「や、やります……見てて、ください……」 グッと彼の下腹に力が入る。 すると後孔からは黒色のアナルビーズが顔を出して、大きな一つ目がボコッと出た。 「っは、はぁっ、はぁ……っ」 「早く出さないとまた挿れられちゃうよ」 「ぁ、や、出します……っ」 続いて、二個、三個……そして最後の一個が出ると彼は脱力してそのまま倒れ込んだ。 ポッカリ空いた穴を惜しげも無く撮られている。 そこに指を入れて、前立腺を引っ掻くと「あぁっ!」と大きな声を上げた。 アナルビーズでよわよわ刺激されていたそこを触られて気持ちよかったようだ。 「ここ、ぷっくり腫れて、そんなに気持ちいい?」 「あっ、あ、あっ、きもちい、いい、っあ、いく、いっちゃう、イっちゃいます、あっ、だめぇ……っ許して、お願いしますっ、あ、イク、いくぅ!」 「だーめ」 イク直前、手を離すと彼は「うぅぅぅ」と唸って背中を丸める。 あともう少しだったのにという心の声が聞こえてくる。 「今度はもう少し大きいの入れようね」 「ぁ、あぁ……っ」 さっき埋めていたのより一回り大きいアナルビーズをスタッフに手渡され、ローションを垂らして一つ一つ埋めていく。 さっきよりも苦しいらしい。必死になって息を吐いている姿がなんとも魅力的だ。 「さて、何個入ってるかあててごらん。」 「ぅ、うぁ、な、なんこ、」 「そう。何個入ってると思う?」 まだ出せないように指先で後孔を押さえ、問いかける。 汗を垂らして必死で考える彼はそのうち「三」と答えた。 「じゃあ、答え合わせをしようね」 「っ!」 手を離すと、彼はまた力んでビーズを一つ一つ出していく。 「はい、一個目」 「っ、は」 「頑張れ、頑張れ」 「うぅ……っ、あ……っ!」 「うん、二個目」 「はぁっ、ひ、ひぃっ、苦し、うぅ……っ」 「三個目出たよ」 「やぁっ、まだ、まだある、何で、三個、違うの……っ」 「残念。あと一個あるよ」 最後の一個を出して、脱力した浬さんを抱き上げて、分娩台のようなそこに座らせ、両手足と腰を拘束した。 「間違えちゃったから、罰ゲームね。」 「うっ、うぁ……」 「これ、なーんだ」 細い棒を彼の前に晒す。 浬さんはゴクリと唾を飲んで首を左右に振った。 「わかるかな。これは尿道を犯してくれる道具だよ。尿道ブジーっていうやつ。」 「や、やだっ、怖い……っ」 「大丈夫、動かないでね」 僅かに勃起してる浬さんのペニスを掴む。 カメラが彼の怯えた顔を撮っている間にキシロカインゼリーを尿道に入れて気持ち悪さに呻く彼を横目に、慎重にブジーを挿入していく。 「ぁ、あ、あっ、あ!は、入ってる、そんな、オシッコの穴に……っ」 「上手に飲み込んでるよ」 「ひっ、ひぃっ、ぁ、あ、あぁ……っ」 「うん。上手。出し入れしてみようか。それとも揺らされる方が好き?」 「あっ、あぁぁっ!」 奥まで挿入して、出ている先端をグリグリ揺らす。 堪らず彼は声を上げ、身体を震わせた。 ブジーの先端は前立腺に当たっているはずで、顔を見ると完全に快楽に蕩けている。 台本にあった通り、俺は後孔に指を挿れてこちらからも前立腺を刺激した。 すると浬さんは目を見開いて涙を流しながら、ブジーの隙間からチョロチョロ潮を漏らす。 「やぁっ、ぁ、きもちいいっ、やぁっ、やめて、それ、やっ、いく、イクイクっ、ぁ、ああぁっ!」 椅子がガタガタ音を立てる。 拘束をしていなかったら落ちていただろうなと思いながら、指を抜いて、勃起して濡れた自身のペニスを彼の後孔に宛てがい一気に挿入する。 「うぁぁぁっ!」 「あっ、つ……」 中はギューッと収縮して、かと思えばフワフワ包むような動きに変わる。 律動して前立腺を刺激すれば彼は何度も「イク」と言って絶頂した。 けれど、彼の望んでいた通り構わずオナホのように使わせてもらう。 「ひっ、い、いった、イってる!イッてるのにぃっ、ぁ、やぁっ、だめ、おかしいっ、中で、あっ、あ、中……っん、射精、してない……っぁ、あぁっ!」 「ブジー入れてるんだから、射精できるわけないだろ」 「やぁっ、ぁ、とってぇっ、これ、抜いて、射精したい、あっ、あ、あぁ……っ!」 ガクガク大きく震える体。 それは俺が射精して中を汚すまで続けた。 ■ ペニスを抜き、ブジーを取ってやるとチョロチョロおもらしをしてしまった彼は目を虚ろにさせている。 顔にはいくつもの涙のあとが残っていて、可哀想なのに可愛い。 一度カットが入って、尿を拭き彼に水を飲ませた。 「大丈夫?」と聞けば「やばい」しか返ってこない。 「続けられそう?」 「……うん」 「もっと水飲んで」 「気持ち良すぎて漏らしたの、初めて」 「それはそれは」 「次、いっぱい叩くよね。俺、頑張るね」 「ダメな時は『死んじゃう』だよ」 「ん、わかってる」 浬さんをベッドに運び、うつ伏せにさせたあと、左右の手足をそれぞれ一緒に拘束する。 正座をしたまま、上体を倒したような状態だ。 そのまま目隠しをして視界を奪う。 少し怖いのか、唇を噛んだ彼が可愛くて頭を撫でてやった。 そして撮影が再開される。 ここからはさっきとは違う『痛み』で彼を責める ──ということになっているが、実は違う。 あの日、台本を代表から受け取り、謎の付箋が貼ってあった。 そこに書いてあったのは俺に渡している台本と、浬さんに渡している台本では内容が違うということ。 あとから詳しく代表に聞いてみると、浬さんの方には『痛い』シーンが書いてあるが、俺のはここからも変わらず快楽責めが書いてあった。 細かい内容は任せると台本にあったから、何度か監督と話し合って決めた。 今から浬さんは結腸責めにあい、メスイキと潮吹きを味わうことになる。 そんなことも露知らず、浬さんは目隠しを施され、何も見えない状態で心臓をドキドキさせている。 俺は浬さんの体を撫でて、本当に軽くお尻を叩いた。 大袈裟なほど震えた彼に心の中で謝って、背後に位置を取り、躊躇なく奥まで挿入する。 「うぁぁっ!?」 驚いた彼が声を上げるのにも構わず律動を繰り返す。 小さな声で「何で」と言う言葉も聞こえないふりをして、ズコズコ突いて、そのうち柔らかくなった奥の壁をこじ開けた。 「うっ、あぁぁあっ!奥、きてる!やだぁっ、あ、あぁっ、奥だめぇっ!」 「っは、はぁ……っ」 パンパンと音が響き、浬さんは何度も射精してシーツを汚していたけれど、そのうち様子が変わった。 「はぅぅ、ぁ、あっ、ぁーっ、あぁ……ッ!」 「っ、またイったね」 「あぅ、ぁ、あぁ……」 彼の体の痙攣が止まらず、どうやらずっと絶頂しているらしい。 「ぁ、め、めす、いき、してる……いや、ぁ、やぁっ、ぁ、こわい、こわい……っ」 「結腸良すぎてメスイキしてるの?」 「あぁぁっ!」 ゴツン、奥を突けば背中を反らしてお尻を上げる。 ペニスに触れると射精していなくて、しっかりメスイキをキめていることがわかった。 中がキツく締め付けてくる。堪えることなく中出しして、ペニスを抜き、浬さんをゴロンと仰向けにさせた。 目隠しは涙でぐしょぐしょに濡れている。 それを取ってやると、彼は殆ど白目を向いていて。 ちゅっとキスをして、俺の胸に凭れさせ、手を伸ばして彼のペニスを掴む。 「ぁ、あ、何……っ」 「そのまま力抜いてて」 亀頭部を掌でグリグリ弄る。 射精して間もなくそこを弄られるのは男にとってはただ辛くて、浬さんも体を捻って逃げようとするけれど、拘束具のせいで上手くいかない。 「ああぁっ、やだぁっ、ぁ、ゆるして……っぁ、いやぁ……!」 「尿道開いてる、ほら、可愛いね、見える?」 「あっ、ああっ!でる、でるっ、おしお、ふく、出ちゃうぅっ!」 プシュップシュッと勢いよく潮を噴く。 ガクガク震えて全体重を俺に預ける彼はこれで終わりだと思っているのか、ヘナヘナしているけれど、まだまだ終わらない。 「あと三回は頑張ろうね」 「ひっ、いやぁっ、ぁ、やぁぁっ!」 嫌がってはいるけれど『死んじゃう』は言わない。 つまりまだ耐えられるってことらしい。 そのまま何度か潮を噴かせ、顔を真っ赤にした彼が失神したのを確認して撮影は終了。 カットが掛かると慌てて拘束具を外し、浬さんの頬を叩いて意識を覚醒させる。 アウアウ言う彼に水を飲ませていると、スタッフがバスタオルを持ってきて彼の色んな液体で汚れている体を拭いた。 「大丈夫?」 「……」 「浬さん?」 「……だいほんと、ちがう」 「ああ、そうそう。浬さんだけ貰ってる台本違うよ」 「なんてことだ」 「気持ちよかった?」 「……よすぎて、いしき、なくなった。こんなのひさしぶりだ」 ぼそぼそと上手く回らない呂律で話す彼に「ごめんね」と謝ると、手をパシッと叩かれた。 顔を見れば、泣いたせいで腫れた目が俺を睨んでいる。 「きもちよかった、から、いい。」 「……」 「ぷらいべーとも、きたい、してます」 「え!?……え、浬さん?寝たの!?」 目を閉じてスースー眠り出した彼。 さすがにプライベートではここまでしませんが。と思いつつ、楽しかったから少しくらいは……とチラリ考えて、眠る彼にキスを落とした。

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