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第10話

前回のビデオは大変好評。 売上はグングン伸びているらしい。 それと同時に、優しいビデオの前に撮ったSMもギャップがあっていいのか売上良好だとか。 「千暁さん!俺の特訓に付き合ってくれませんか!」 「特訓?」 ある日の撮影終わり。 今日のお相手だった子をいつも通り介抱したあと、スタジオを出るとそこにはたまたま撮影終わりの那月君に出会した。 『お疲れ様』と声をかけようとして、那月君が駆け寄ってきたその勢いを殺すこと無く言ってきたのが「特訓に付き合ってほしい」ということ。 「何かあった?」 「あ、いや……俺もジャンルの幅を広げた方がいいのかなって、千暁さんと浬さんを見てて思って……」 「ジャンルの幅……?でも那月君、優しい雰囲気の撮影が好きなんじゃないの?無理に広げても体も心も苦しくなるんじゃない?」 帰り道に歩きながら話す内容では無いなと思って個室のある居酒屋に入った。 結構真剣に悩んでいるようだったので俺もちゃんとアドバイスできるように考えなきゃ。 「今は優しい相手で、そういう内容で、だからリラックスして撮影できるんですけど、でも同じようなものばかりは飽きられてしまうし、飽きられた後に新しい物を出しても、誰も見てくれないじゃないですか……。」 「あー……飽きちゃってるからね……」 「だからそうなる前に動かなきゃって思って、じゃあどんなのがあるかって考えると、ハード系とかになるかなって、思って……」 ちびっとお酒を飲んだ那月君は、俺を見て「どう思いますか?」と聞いてくる。 「確かにそうだと思う。ハード系は人気あるし、痛いの我慢出来るならそういうジャンルもアリだな。けど、今まで優しい人達ばっかりだったなら本当に辛くなるんじゃないかな……」 正直そういうことなら受け専のことはあんまりわからないから、浬さんに相談する方が合ってる気がする。 どうしようかな、浬さん呼んであげた方がいいかな……そう思っていると、那月君が強くテーブルを叩いた。 「なので!千暁さんに特訓をお願いしたいんです!」 「ええぇ……」 ■ 「えっと、これは尿道ブジーって言うんだけど……見たことある?」 「那月さんと浬さんのビデオで見ました」 お願いをされてから一週間後。 浬さんの自宅で特訓することになった。 というのも、いくら特訓だからといって、さすがに恋人に何も言わずにそういうことをするのは違うだろうと、浬さんに全てを打ち明けたからだ。 浬さんは後輩が悩んでいるなら力を貸してあげるべきだと、その場には自分も立ち会うと嫌そうな顔で言った。 「尿道ブジーって慣れるまで痛いんだ。慣れても尿道が塞がれるから射精できないし、尿道の方から直接前立腺を刺激されるのは辛いって聞くし……だからハード系ではよく使われるんだけど……」 「……浬さんも?」 道具の説明をしていると、那月君が傍にいる浬さんを見る。 「俺ぇ?俺はハード系の時はよく使うよ。射精できないの苦しいけど、出せたらすごく気持ちいいし、ちんこ側から前立腺刺激されるのはトブくらいにいい。でも慣れるのにはちょっと時間がいったかも。」 「浬さんでも……?」 「当たり前じゃん。初めては辛かったよ」 シーンとする部屋。 那月君の顔を見ながら「どうする?やってみる?」と聞くと、彼は決意を固めたようで大きく頷いた。 「よーし、じゃあまず俺がそういう気分にしてあげる!」 「え、何であんたがノリノリなわけ」 「可愛い後輩のためだからね。じゃあはい、キスしようねぇ。」 「んむぅっ!」 那月君に浬さんが深い深いキスをする。 浬さんの舌技は俺もいつもメロメロになってしまう。 那月君もものの数秒で頭が蕩けだしたようで、目をトロンとさせて浬さんの服を掴みながら、なんとかキスに応えていた。 浬さんはキスを繰り返しながら那月君の服を脱がせていく。 上半身裸になった那月君の首筋や、胸にもキスを落とし刺激をしながら、腹筋を撫でる。 「ぁ、はぁっ、ぁ、か、浬さ、」 「んー?気持ちよくない?」 「気持ち、いい……けど、ぁ、おれ、特訓なのに……っ」 「いいじゃん。気持ちよく特訓しようね」 デロデロに甘やかしながらやる気らしい。 けれどあまり今感じられても困ってしまう。 「いや浬さん。やりすぎると勃起して挿れ難くなるんで」 「あ、そっか……」 ボソッと浬さんにだけ聞こえるように伝え、俺はブジーの準備をする。 こればっかりは何度か繰り返して徐々に慣らしていくしかない。 浬さんが下履も全て脱がせていった。 那月君が緊張して体に変に力が入らないようにしてくれているのか、俺が彼の視界に映らないようにキスを繰り返す浬さん。 緩く勃起しているそれに温めたローションを垂らす。 さすがに気付いているようで、浬さんに「怖い」と言葉を漏らしている。 「怖いね。大丈夫だよ。やってくれるのは千暁だからね。キスしとこ?あと手も繋いじゃおうか」 「ん、手、繋いで、ください……」 「いいこだね。腰動かさないようにね」 ブジーにもローションを垂らす。 先端の穴を指先で軽く広げて、「挿れるよ」と一言言い、ブジーの先を穴に挿入した。 少しすると那月君の足の指がググッと反れるように開いた。 「んぅ、ぅ、ん、ん゛んっ!」 「動かさないから力抜いて」 痛みがあるのか、違和感が酷いのか強い力が入っているのがわかって手を止める。 浬さんが優しく肩をトントンと叩きながら、キスをしつつ「大丈夫だよ」と声をかけている。 次第に落ち着いたのか、浬さんに「大丈夫です……」と力無く言う彼の声が聞こえた。 「そのまま深呼吸してようね。」 浬さんの言葉を聞いて、ブジーを進める。 少し入れて、少し抜いて。 それを繰り返し、入るところまで挿入しようと手を動かしていると、那月君が突然「ダメ」を繰り返した。 「ぁ、だめ、それ以上はダメ、おかしい、変なところ、来た、」 「変なところ?……あ、前立腺じゃないかな。」 浬さんの言葉に俺は納得して、どうせなら浬さんの言うトブくらいの快感を覚えさせた方がいい。 「那月君、ゆっくり息吐いて」 「ぁ、あ、やだ、怖い、ぁ、うぅ、千暁さん、怖い」 「大丈夫だよ。浬さんの呼吸に合わせて息しようね」 チュクチュク、手前を刺激する。 那月君がフーフーと息をしているのを見て、タイミングを合わせてブジーを押し込み前立腺を刺激した。 「──ッ、あ、あぁぁっ!」 「ね、気持ちいいでしょ」 ガクガクと那月君は痙攣するほど気持ちいいらしい。 泣いて首を左右に振りながら、「やだ」「取って」と言う。 「千暁、後ろも刺激してあげたら?」 「ええ……でもちょっと辛そう」 「ハード系するならこれくらいしないと」 躊躇う俺を見て浬さんは「代わって」と言って、俺とポジションをチェンジする。 手にローションを垂らして那月君の後孔に塗り込み、指を挿入してすぐ前立腺を見つけたのか、那月君は「お゛ぁ……っ」と声を出したきり失神してしまった。 「あ、ほら失神しちゃったじゃん」 「すぐ目覚ますよ。撮影だと指じゃなくてちんこ突っ込まれるんだから。ホラホラ、起きて」 二本の指で前立腺を弄っているようで、那月君はハッと目を見開いて腰を浮かせるほど背中を反らした。 「あぁっ、ぁ、も、もうやだ、ぁ、いく、いくいく、イくぅっ!」 「こっちも動かしてあげる」 「ひっ、ぃ、あっ、あぅっ、ぅ、いゃ、前立腺、やだあっ!」 バタバタ、暴れそうになってる那月君を見て、こういう光景を見たい人が一定数いるんだよなぁと思いながら、ブジーを抜いてあげた。 浬さんは不満そうだったけれど、初めからこんなに飛ばしていくことはないと思う。 本気で泣いている那月君に「大丈夫、じゃないよなぁ」と言いながら、浬さんにも刺激を止めるように伝える。 「那月君、ごめんね、触ってもいい?」 「っん、」 泣きながら頷いた彼をそっと抱きしめて、優しく体を撫でる。 初めっから苦しい思いをさせてしまった。 反省をしつつ、でも那月君がこういうビデオに出たら人気だろうなと思って、どう伝えるべきか悩む。 「は、千暁さ、俺、で、できないかも……っ」 「できてるよ、大丈夫」 「俺でも、もうヤダって、泣いちゃったしっ」 「那月君は辛かったと思うけど、そういう姿が好きって言う人がいるからね……。まあ、選ぶのは那月君だよ。」 頭を撫でてあげていると、浬さんが割り込んできて那月君にキスをする。 「ごめんね、無理させた」 「ん……大丈夫、です……」 「中イキはしてたけど、射精できてないの、辛いなら俺付き合うよ。どうする?」 「付き合う……?」 「うん、抜いたげる」 モゾモゾ、動いた浬さんが那月君のペニスに顔を近づける。 ちゅっとそれにキスをしてから咥えた彼。 那月君はギュッと目を閉じて、快感に浸っている。 「浬さんのフェラって本当気持ちいいよね」 「っは、はぁっ、ぁ、やばい、すぐ出そう……っ」 俺の胸に顔を寄せて「やばい」を繰り返す那月君。 可愛くて頭を撫でてやりながら、時折キスをする。 「ん、那月君、いつでも出していいよ」 「ぅ、浬さ、ん……っやばい」 「いいよ」 「はぁ、ぁ、あ、あっ、出る……っ」 ビクビク、細かく震えた那月君。 浬さんはジュッとそれを吸った後、口内に出されたそれを飲み込んで体を起こす。 「千暁、那月君大丈夫そう?」 「んー……大丈夫そうだけど、しばらく休ませた方がいいかも」 「じゃあ……ホットタオル持ってくるよ。とりあえず体拭いてあげなきゃね。」 「俺がやるよ。浬さんの方が辛さわかるでしょ。そばに居たげて」 体を起こすと、「どのタオルでもいいから」と浬さんに言われ、その通り適当に準備をして部屋に戻る。 浬さんは那月君の腰辺りを撫でてあげながら「上手だったよ」と言葉をかけてあげている。 那月君はそれが嬉しかったのか、浬さんに「ありがとうございます」と弱々しい声で伝え、浬さんに甘えるように体を擦り寄せていた。 「え、何今の、めちゃくちゃ可愛い……。ちょっと甘くしたら懐いちゃうの?俺そういうの弱いんだってー……」 「はい浬さん交代。体拭いてあげて」 「え、千暁嫉妬してんの?ウケる」 「ウケない」 タオルを渡せば優しく那月君の体を拭いてあげる彼。 デロデロした顔。小動物を可愛がっているような表情だ。 体を拭いてあげている間に疲れて眠ってしまった那月君。 そんな彼にブランケットを被せて、俺達は水を飲んでから軽くシャワーを浴びる。 「那月君に嫉妬してる千暁って面白いね」 「何も面白くない」 「だってさ、同じウケ専だし?可愛いとは思っても付き合うとはならなくない?」 「別に二人とも棒は持ってるんだから、その気になればどっちでもいけるだろ。」 浬さんに甲斐甲斐しく体を洗われながら、ムスッとした顔をしていると、ブチュッとわざと下手くそなキスをされて驚いた。 「俺は千暁が大好きだよ」 「っな、んですか急に……」 「プライベートでは千暁だけに抱かれたいし、千暁にだけ甘えたいよ。」 「……」 「だから安心してね」 「んっ!」 今度は浬さんお得意の深いキス。 次第にやる気になってきて、彼の腰に手を回そうとするとスルり躱された。 「那月君が帰ってからね」 「……本当?」 「うん。俺もムラムラしてんの」 ちゅ、と最後に触れるだけのキスをして俺の体についた泡を流した後、彼は先にお風呂を出た。 俺はというと、既に勃起しているペニスをじっと見下ろして深く息を吐き、静かに治まるのを待ってから風呂を出た。 夜になって漸く目を覚ました那月君をお風呂に放り込み、その後ご飯を食べさせる。 「俺、頑張ります。ちょっとずつジャンル幅広げられるように努力します!」 「うん。でも、熟れてるより初々しい方が可愛いよ」 「……浬さん、また話聞いてください。あ、千暁さんも!」 俺の思っていた通り、浬さんに聞いた方が今後に生かせると那月君も気付いたらしい。 「うん。いつでも」 俺も浬さんもそう返事をして、ご飯を食べた後は浬さんが那月君を自宅まで車で送ってあげて、俺はひとりお留守番。 その間にベッドを綺麗に整えて、浬さんが帰ってきた途端にでもセックスできるように準備万端。 暫くして玄関の悪音が聞こえ、そこまで迎えに行くと飛びついてきた浬さんに「早くエッチしよー!」と色気も何も無い誘われ方をしたけれど、我慢の限界を迎えそうだった俺はそれだけで元気になってしまい、彼をベッドに運んでからは、朝まで夢中になって愛し合っていたのだった。

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